LAC リチウム・アメリカズ

カナダのリチウム開発会社。カナダとアメリカに上場している。

アルゼンチンのカウチャリ・オラロス、アメリカ(ネバダ州)のタッカー・パスという2つのプロジェクトを持つ。

 

カウチャリ・オラロス

カンフォンリチウムと開発を進めているかん水のプロジェクト。リチウムアメリカズの持ち分はジョイントベンチャーの49%、全体の44.8%。

ガンフォンはリチウムアメリカズに12.6%の出資も行っている。

 

カウチャリ・オラロスは南米のリチウムトライアングルに位置する。隣ではオロコブレのオラロスがある。

資源量は20Mt LCE と膨大でアタカマに次ぐ規模(ただし塩湖の資源量は大きいので上位であればそれほど気にする必要はないと思う)。

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計画では2022年3Qから生産を開始する予定。年間生産量はバッテリーグレードの炭酸リチウム40Kt、生産コスト3,600ドル以下という見込み。

CAPEXは641Mドル。そのうち66%が投資済みで残りの資金もすでに確保しているとのこと。

5月にはさらに20Ktの拡張を行うというアナウンスがあった。

 

タッカーパス

リチウムアメリカズが100%保有するプロジェクト。クレイからリチウム化合物を生産する。

資源量(精測・概則・予測)は8.4Mt LCE と非常に大きい。

現在はFSが進行中。年間生産量は30-35Ktの計画で、20Ktの水酸化リチウム変換プラントも検討している。

開発スケジュールによると2022年に建設開始の予定となっている。

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なお、2018年に出たPFSの数字は以下のようになっている。

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タッカーパスはアメリカ本土の大規模リチウムプロジェクトということで期待大だが、現時点でクレイからリチウム化合物を生産している会社がないのがリスクだと思う。

また、環境団体の訴訟によりプロジェクトが遅れるというアナウンスが6月に出ている。この判断は7月末に下るようだ。

 

リチウムアメリカズの株価は今年初めにピークを付けた後に低迷している。昨年急騰した反動ではあるが、他のリチウム銘柄に比べると下落が大きい。

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現在の時価総額は1.7Bドル。これはオロコブレの2.3Bオーストラリアドルとほぼ同じレベル。

オロコブレはアルゼンチンのオラロス湖から年間12ktほどの炭酸リチウムを生産している。プロジェクトの持ち分は66.5%。バッテリーグレードの比率は2~3割程度(来期には5割まで高まると言っている)。2021年に楢葉で10Ktの水酸化リチウムプラントが稼働するほか、2023年に向けて42.5Ktへの拡張を計画している。

リチウチ銘柄の時価総額を比較するのはなかなか難しいと感じる。資源がかん水なのか鉱石なのか、製品が炭酸リチウムなのか水酸化リチウムなのか、バッテリーグレードの割合はどれくらいあるのか、将来の拡張計画はどれくらいあるのかなど条件が異なるため。ただ、カウチャリ・オラロスが計画通りに進行すれば少なくともオロコブレと同レベルの評価はつくのではないかと思う。そうなった場合にはタッカーパスがほぼゼロ評価になる。

アメリカに資源を持つリチウム銘柄としてはピードモント・リチウムがある。ピードモント・リチウムは鉱石資源を持つ会社だが資源量は中規模クラスで生産も開始していない。にもかかわらずアメリカにある&テスラと契約したということで1.4Bドルの時価総額がついている。

以上から、カウチャリ・オラロスの生産が計画通りに進む、タッカー・パスの開発が問題なく再開する、リチウム銘柄のバリュエーションが現在と変わらない、という前提であればリチウムアメリカズの株価は割安だと思う。