3186 ネクステージ 2021年11月期2Q決算

中古車販売の大手。中古車買取や輸入車ディーラーなども手掛けている。

 

2Q累計の業績は以下の通り。上方修正はなかったが、経常利益は会社予想を+24%上回った。

売上高 1,392億円(前年比+20%、前々年比+33%)

経常利益 62億円(黒字転換、前々年比+94%)

純利益 44億円(黒字転換、前々年比+90%)

EPS 57.9円

 

2Q単体だと以下の通り。

売上高 761億円(前年比+41%、前々年比+37%)

経常利益 35億円(黒字転換、前々年比+81%)

純利益 24億円(黒字転換、前々年比+63%)

 

四半期の売上高の推移が下のグラフ。直近1年以上にわたり横ばいで推移していたが、2Qは久しぶりに大きく伸びた。

ただ、1Qがいまいちだったため2Q累計の売上高成長率は+20%にとどまる。2割の成長率は数字だけ見れば悪くないが、新型コロナの影響を除くため前々年の売上高を基準にすると2年間の年平均成長率は+15%まで落ちてしまう。

ネクステージは新型コロナ下にあっても店舗数を増やしていた。今期は前年に停滞した分も売上高が伸びるのではないかと思っていたが、上半期はやや物足りない数字に感じた。

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下のグラフは、買取専門店を除く店舗数、売上高、小売販売台数の前年比の推移(2021年は会社予想の数字)。

ネクステージは店舗の大型化を進めているため売上高と小売販売台数は店舗数の伸びを上回っていた。

2020年は新型コロナの影響で売上高と小売販売台数が店舗数の伸びを下回った。2021年は新型コロナの影響が小さくなることで売上高が大きく伸びることを期待したのだが、会社予想の数字は控えめとなっている。

実際の2Q決算ではやや上振れした数字が出てきたが期待ほどではなかった。ただし、2Q単体の売上高は大きく伸びているので下半期に再加速があるかもしれない。

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買取専門店を除く店舗数当たりの小売販売台数も出してみたが、今期の会社予想は小規模なリバウンドでやや物足りなく思える。

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四半期の経常利益の推移。前年3Qに大きく切り上がった利益水準を維持している。

4Qの経常利益率は4.6%。前年3Qの5.6%には及ばないものの1Qの4.3%から向上している。

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利益率については前年3Qに改善したのが一過性の特需に終わるのではないかと心配していた。

心配どおり粗利益率は低下しているのだが、販管費の削減によって高収益を維持している。

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粗利益率の低下はオートオークションの特需が剝げたことが原因のようだ。オートオークションの台当たり収益はコロナ前の水準まで落ちてきている。

オートオークションが堅調な一方で小売平均単価は底這いで推移している。中古車価格の値上がりが報道されているので小売価格が上がっていないのはやや意外に感じた。

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なお、ネクステージは中古車買取の店舗を大幅に増やしており、買取店の粗利益も全体の2割程度まで増加している。その他にも新車ディーラー、整備店といったビジネスもあり、中古車販売の比率は半分程度まで下がっている。

ちなみに決算説明会資料によると2Qの小売販売の買取仕入構成比率は24.2%となっている。買い取った中古車の3/4台はオートオークションで販売されているようだ。

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株価は高値圏にあり今期PERは17.5倍となっている。会社予想の成長率で見ると妥当な水準かなと思う。

ただ、中間で経常利益が2割以上も上振れているので、通期もこの勢いが続けばPER15倍前後まで下がりそう。来期も2割伸びれば10倍前半になり割安感が出てくると思う。

一方で成長率が10%くらいまで下がるならバリュエーションの安いIDOMの方が魅力に見えてくる。