中国ADR(BABA、BIDU、BILI)2020年4Q決算

アリババの3Q決算とバイドゥ、ビリビリの4Q決算。

記事中のPER、PSRはすべてYahooFinanceのアナリスト予想の数字をもとに計算した。

 

・BABA アリババ

3Qは前年比で売上高+37%、営業利益+24%増加、調整EBITDA+20%だった。

セグメント別の売上高の前年比は、コアコマース+38%、クラウドコンピューテング+50%。デジタルメディア&エンターテインメント+9%となっている。

調整EBITDAの前年比はコアコマース+15%、クラウドコンピューテングは初の黒字化、デジタルメディア&エンターテインメントは赤字縮小。

今期PERは23倍で割安感があるように見える。

ただ、アリババは赤字部門と営業外損益の大きなぶれのため実力が分かりにくい。

過去1年のコアコマースの営業利益は155B人民元(≒23Bドル)だった。時価総額が650Bドルなので、コアコマースだけで考えるとそれほど割安感はないと思う。

クラウドは過去1年の売上高が55B人民元だった。アマゾンの営業利益率3割に倣うと16.5B人民元(≒2.5Bドル)くらいの営業利益が見込めることになる。期待の持てる事業だがコアコマースが大きいために全体に占める比率は小さい。

 

・BIDU バイドゥ

検索最大手。傘下のiQIYIは動画配信サイトで首位を争う大手だが長らく赤字を垂れ流している。現在はAI、音声アシスタント、自動運転、クラウドといった分野に注力している。

4Qは前年比で売上高+5%、営業利益+7%だった。

セグメント別に見ると、バイドゥコアは前年比で売上高+6%、営業利益-8%。バイドゥコアの非広告の売上高は前年比+52%増加して4.2B人民元(セグメント売上高の18%)になった。クラウドやその他のサービスが主導したとのこと。AIクラウドは前年比+67%増加して年換算で2Bドル(≒13B人民元)の売上高になったそうだ。

iQIYIは売上高が前年比-1%と減収に転じたものの営業赤字は前年の2.2B人民元から1.3B人民元に半減した。

 

株価は昨年の底値から3倍以上に急騰している。AIや自動運転といったキーワードで買われたようだ。時価総額は97Bドル。株価の値上がりにより今期PERは28倍まで上がった。

バリュエーションの割安感は薄れたものの、各事業を分割して見れば割高とまではいかないのかなと思う。

・バイドゥコア・・・売上高12Bドル、営業利益(non-GAAP)4Bドル、営業キャッシュフロー4.5Bドル、フリーキャッシュフロー3.7Bドル。

・iQIYI・・・時価総額20Bドル(半分程度を持っていたと思う)。

・自動運転・・・競合他社の評価額は5.4~30Bドル(3Qでの話)。

・クラウド・・・競合のキングソフトクラウドの時価総額12.8Bドル。

・ネットキャッシュ・・・現金+売上債権+長短投資-総負債は16Bドル。

 

なお、会社はYYから中国国内のライブプラットフォーム3.6Bドルで購入することを発表している。空売り機関からYYについてのレポートが出たものの取引は元の価格で進捗中とのこと。

 

・BILI ビリビリ

中国版ニコニコ動画。若い世代の強い支持を得ている。

4Qは前年比で売上高+91%、営業赤字903M人民元(前年の赤字は420M人民元)だった。

売上高の伸び率は非常に高いが内容はさらに良い。これまで主力だったモバイルゲームの比率が下がった一方で、バリュー・アド・サービス(有料会員、ライブ放送、コミックなど)、広告、イーコマースの比率が増えている。3事業の伸び率はどれも前年比2倍を超えている。

f:id:sapa21:20210228161521p:plain

 

MAUは前年比+55%の2.02億人。有料ユーザー数は前年比2倍超の1,790万人。 

新型コロナの影響で1Qに大きく伸びたのち2Qは横ばいだったが、3Q4Qは再び成長路線に戻っている。

 

時価総額は43.5Bドル。株価は絶好調で昨年の初めから5倍以上に値上がりている。

今期PSRは15.5倍(前年比+50%の増収想定)で割高な数字になってしまった。