01772.HK ガンフォンリチウム 2020年3Q決算

中国のリチウム大手。川上のリチウム資源開発から川下のバッテリー製造やリサイクルまで手掛けている。中国では天斉リチウムと並ぶ2強。深セン(002460)と香港(01772)に上場している。

 

3Qは前年比で売上高+8%の増収、純利益+421%の増益だった。

四半期の売上高と純利益の推移を見ると、純利益は依然としてピークを大きく下回っているものの、今年の1Qを底に2四半期連続で改善している。

中国国内の炭酸リチウム価格が底打ちしていることから今後の業績も改善が続きそう。

f:id:sapa21:20201127094420p:plain

 

2020年のEPSは0.3~0.4人民元というガイダンスがあった。前年の0.28人民元から改善するが、ピークの2017年の1.89人民元からは大幅な減少となる。

 

ガンフォンは他社と比べても順調に生産量を拡大させている。

今年末までに Xinyu で年間キャパシティ50Ktのバッテリーグレード水酸化リチウムプラントが稼働する。2021年にはアルゼンチンの Cauchari-Olaroz の建設が完了し2022年に生産を開始する予定。会社は近い将来にキャパシティを110Ktまで増やすとしている。

下のグラフは2015年~2019年の生産能力と実際の生産量のグラフ。

f:id:sapa21:20201127100744p:plain

※炭酸リチウム、水酸化リチウム、リチウムメタルを単純に積み足している。実際には水酸化リチウムは炭酸リチウムベースではやや少なくなるため正確な数字ではない。 

 

他社と異なりガンフォンが順調なのは必ずしも川上の権益にこだわらずにコンバーターとしての生産能力拡大に注力しているためだろう。

現在ガンフォンが保有し稼働している川上権益はマウントマリオン(持ち分50%)のみで、炭酸リチウム換算で25Kt分に過ぎない。開発中の Cauchari-Olaroz を含めても年間生産量110Ktを達成するには他社から大量の原材料を仕入れる必要がある。

足元ではスポジュメン精鉱の供給過剰が追い風になっているが、需給が引き締まった場合はガンフォンにとって逆風になるかもしれない。

 

株価の方は好調でここ1年で6倍に値上がりしている。

業績低迷から今期のPERはまともな数字が計算できないが、2017年ピークのEPSを使うと35倍程度のPERになる。ただ、生産能力は当時よりも大きく向上しているので実績の数字はあまり参考にならない。結局のところバリュエーションはリチウム価格次第となりそう。