福井県発祥のドラッグストアチェーン。福井県、石川県、岐阜県、愛知県にドミナント展開している。会社によると福井と岐阜でシェア1位、石川でシェア2位、愛知でシェア5位とのこと。
ゲンキーの特徴は低価格販売と食品比率の高さ。食品は生鮮食品も取り扱っている。全体の売上高に占める食品の比率は5割を超えている。
売上高は右肩上がりに伸びている。2007年~2021年(予想)の年間成長率は平均で+13%となっている。
経常利益も右肩上がり。経常利益率の平均は3.7%。今期の予想は4.2%。
新型コロナウィルスの特需もあり、1Qは前年比で売上高+23%、経常利益+160%と絶好調の決算だった。業績予想も上方修正された。
月次を見ると7月~9月も前年比+20%以上を維持している。他社の月次が落ち着いてきている中で勢いが衰えていない。
ゲンキーとドラッグストア他社を比較してみる(数字は前期の実績値)。
店舗数や売上高は上位10位にも入っていない。
利益率を見ると粗利益率が23%と低い。これは低価格を志向しているのと食品比率が高いためだろう。同様の戦略をとるコスモス薬品なども同じ傾向となっている。粗利益率は低いもののローコスト経営により営業利益率は業界の平均的数字となっている。
※クスリのアオキはライフ(食品や家庭用品)を雑貨と食品の欄に入れた。
次に2010年と比較して売上高がどれくらい伸びているかをグラフにしてみた。
トップはクスリのアオキ。ウエルシア、ツルハ、コスモス薬品、ゲンキーも平均以上の成長率となっている。
これら5社のうち、ゲンキー、コスモス薬品、クスリのアオキは食品に力を入れている。ドラッグストアで食品を扱うのはトレンドだが、業績の伸びにも反映されているように思う。
ちなみに僕の住んでいる岐阜はドラッグストアが非常に多い。
個人的な感想では、やはり食品が充実している店は便利だと思う。昔ながらの薬局タイプのドラッグストアにはほとんど行かなくなった。
ただ、ゲンキーの特徴である生鮮食品については特別魅力には感じていない。あるにこしたことはないが品揃えは少ないので、生鮮食品が必要なら結局スーパーに行ってしまう。
ゲンキーの印象は店がやや広めでちょっとした買い物には大変、通路が長く歩かさせられる(商品棚が売り場の端から端まであり区切りがない)、レジが少なく会計で待つことが多いといった印象。
近くにあるクスリのアオキの方が手頃な広さでレジ待ちも少ないためそちらを利用することが多い。クリスのアオキはゲンキーよりも生鮮食品は少ないがそれをデメリットに感じることはない。
とはいえこれらは生活スタイルによって感じ方が違ってくるだろうし、基本的にどちらの店もそれほど大差はないのかなと思う。
BSを見るとネットの有利子負債が233億円程度ある。今期の予想経常利益61億円、実績の営業キャッシュフロー74億円などと比べると多くはないが少なくもない水準だと思う。
決算が良かったことで株価は上げている。ただ、コロナ後を見据えているのか業績ほど株価は上げていない印象を受ける。
今期の予想PERは16倍。妥当な水準に思えるが、クスリのアオキの23倍、コスモス薬品の31倍に比べると低い。短期的には月次の好業績がどこまで続くかに注目だと思う。