051910.KS LG化学

韓国の総合化学メーカー。

リチウムイオン電池では大手の一角でCATLやパナソニックなどと競合している。

 

LG化学のセグメントは、石油化学、電池、先端材料、ライフサイエンス、その他の5つ。

このうち最も大きいのは石油化学、次いで成長著しい電池となっている。3番手は先端材料。ライフサイエンスとその他の割合は低い。

売上高の推移を長期で見ると石油化学と先端材料はおおむね横ばいで推移している。

電池はここ3年ほどで急拡大した。2020年の予想は前年比+80%で石油化学に匹敵する売上高になる。

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セグメントの営業利益。

石油化学は波があるものの安定して黒字を出している。営業利益率は6~16%。

かつて2番手だった先端材料は足元ではギリギリ黒字という状況になっている。

急拡大している電池は前年赤字だったが今後の利益貢献が期待される。ちなみに報道によるとCATLの電池事業の粗利益は28.5%、純利益率は約10%だったそうだ。

中国電池大手CATL、純利益3割増 19年12月期 :日本経済新聞

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四半期の売上高を見てみる。

電池は順調に拡大しており3Qは前年比+42%の増収だった。

石油化学は2Qに落ち込んだが3Qにやや回復した。ただし、前年比では-10%と依然として減収。

先端材料は事業売却のため前年比で大きく減収となった。

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セグメント利益の推移。

需要の回復と原材料価格の低下から石油化学が大幅増益となった。ここ3年で最高の利益。

電池は2四半期連続で大きな黒字を計上した。ただ、営業利益率は5%少々とまだ低い。ここ3年で見ると電池の黒字はまだ安定していない。

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今後の注目点はやはり電池事業だろう。

こちらのリサーチノートでは、リチウムイオン電池の需要が2018年の187GWhから2030年に1,822GWhまで拡大すると予想している(ピュアEVの販売台数が100万台から2,300万台に増加するという前提)。

ただし、バッテリー価格が下落するため売上高では3~4倍の増加にとどまる。

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現在、LG化学は韓国、中国、ポーランドで電池を生産している。こちらの記事によると2020年1-8月のバッテリー搭載量は15.9GWhだったそうだ。単純に年率換算すると24GWhとなる。

会社の拡張計画は野心的で、ポーランドが20年末に70GWh、中国が23年までに32GWh、20年半ばに建設開始予定のアメリカ(GMと共同)が30GWhと報道されている。これらが実現すればキャパシティは現在の数倍に拡大することになる。

 

LG化学の現在の株価は639,000ウォン。

実績PERは156倍、ここ最近で純利益がピークだった2017年のEPSを使うと25倍という水準にある。ただ、LG化学は電池が急速に伸びている会社なので実績PERはあまり意味がない。

電池事業の将来の利益だが、今期の予想売上高15Bウォンが3倍に拡大したとして45Bウォン、営業利益率10%とすると4.5Bウォンの規模となる。

一方で主力の石油化学は過去10年の営業利益の平均が1.8Bウォンだった。

両者を合わせると6.3Bウォンの営業利益となり、EPSは6~7万ウォンくらいになりそう。

現在の株価は電池事業の成長を織り込むと割高とは言えないかなと思う。ただ、割安になるかどうかはEVの普及速度や利益率の改善具合に左右されそう。

リチウムイオン電池の会社はEV関連銘柄の本命的存在ではあるが、バッテリー価格の下落により数量ほど売上高が伸びないかもしれないのが残念。

 

なお、会社は電池部門をスピンオフする計画を9月に発表している。