中国のリチウム大手。川上のリチウム資源開発から川下のバッテリー製造やリサイクルまで手掛けている。中国では天斉リチウムと並ぶ2強。深セン(002460)と香港(1772)に重複上場している。
中間決算は前年比で売上高-15%の減収、純利益-47%の減益だった。2Q単体では、売上高-12%の減収、純利益+233%の増益となる。
四半期の売上高と純利益の推移を見ると、業績は依然として厳しいものの1Qに比べると売上高・純利益ともに大きく改善している。
利益が改善したのは原材料となるスポジュメン精鉱の価格低下が背景にあるようだ。Fastmarketによるとスポジュメン精鉱(5~6%)の6月の価格はトン当たり400~430ドルまで下がっているとのこと。
一方でリチウム化合物の価格も相変らず下落が続いている。中国での価格は2018年中頃に比べて半値以下になった。
国際価格は中国価格と比べると高値で推移している。2020年は比較的安定しており底打ちも期待される。
上流権益や生産設備についてもいくつかコメントがあった。
・アルゼンチンの Cauchari-Olaroz を開発している Minera Exar の持ち分を51%に引き上げた。Cauchari-Olaroz は2021年に生産開始の予定。
・Xinyu に年間キャパシティ50Ktのバッテリーグレード水酸化リチウムプラントを建設中。2020年末までに生産開始の予定。
・2025年に鉱石から100Kt、かん水とクレイから100Ktのリチウム化合物を生産する目標。
その他、8月に江西汽車の子会社が持つリチウム化合物の生産設備を引き受けるというアナウンスがあった。期間は2020年10月~2023年3月まで。
Ganfeng to expand lithium production via cooperation agreement with Jiangte Motor
バランスシートを見ると現金同等物27.6億RMBに対して、短期借入金29.6億RMB、長期借入金21億RMB、転換社債7.8億RMBとなっている。
フリーキャッシュフローのマイナスから借入金が徐々に増加している。
決算を受けて株価は下げたもののここ1年で4倍に急騰している。実績PERは140倍、ピークの2017年のEPSを使うと20倍程度となる。
ガンフォンリチウムは投資可能なリチウム専業大手という貴重な存在だが、アルベマールやSQM並みの時価総額で評価されており割安感がない。