SQM ソシエダード・キミカ・イ・ミネラ・デ・チリ 2020年2Q決算

特殊肥料、ヨウ素、リチウムで高いシェアを持つチリの化学メーカー。

 

2Qは前年比で売上高-7%の減収、調整EBITDA-6%の減益、純利益-28%の減益だった。

業績は良くないものの1Qからは改善している。

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セグメント別の売上高は特殊肥料とリチウムが前四半期比で増収、ヨウ素は減収となった。

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売上高は減収だが粗利益の段階ではヨウ素が全体の39%を占めている。次いで特殊肥料が大きく、この2部門で粗利益の7割以上を稼いでいる。

下のグラフはセグメント別の純利益の推移(2020年1Qまで)。少し長い期間で見てもヨウ素の比率が増えていることが分かる。ヨウ素の今年の需要は前年よりも落ちるとのことだが、2Qの価格は横ばいで厳しい環境の中でも健闘している。

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リチウムセグメントの販売数量と販売価格は下のグラフのとおり。

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・販売価格の下落は継続しており下半期も下落圧力が続く。

・販売数量は12.6Ktと1Qから大きく増加した。

・今年の販売量は前年の45Ktを上回る見込み。

・生産量は拡張後のキャパシティである年間70Ktのペースまで増加した。

・販売量と生産量のギャップから在庫は増えており、在庫は炭酸リチウム換算で20Ktに達する。

・在庫は年末までにさらに増える。今後の需要増加に備える。

・ 2025年にリチウム市場が年間800Ktに拡大するとの見方を変えない。

・拡張プランに変更なし。2025年に150Kt以上の販売量を見込む。マーケットシェアを取りに行く。

・現在のキャパシティは炭酸リチウム70Kt。水酸化リチウム13.5Kt(自ら生産する炭酸リチウムが原料)。

・水酸化リチウムのキャパシティは年末までに20Ktに拡大する。

・中国での販売が1/3以上を占める。

 

リチウムの開発・拡張計画が相次いでストップする中でSQMは強気な姿勢を崩していない。

ただ、SQMの平均販売価格はトン当たり6.8ドルとかなり低く、実際のところどのくらいの量のバッテリーグレードのリチウム化合物を生産できているのかよく分からない。

Fastmarketによると現在のバッテリーグレードのリチウム化合物のトン当たりのスポット価格は、炭酸リチウムが中国国内5.3~5.9ドル、日中韓向け海上価格6.5~8ドル、ヨーロッパ・アメリカ8~9ドル、水酸化リチウムが中国国内6.3~7.1ドル、日中韓向け海上価格8.8~10、ヨーロッパ・アメリカ9.75~10.5ドルとなっている。

 

バリュエーションはアルベマールに比べると高めになっている。YahooFinanceのEPSを使うと今期PER33倍、来期PER24倍となる。