BRK-B バークシャー・ハサウェイ

バフェット率いる投資会社。

株式投資の他に子会社を通じて保険、鉄道、電力、その他さまざまな事業を行っている。

 

〇 事業からの利益

バークシャーのPLには「保険&その他」と「鉄道・公益・エネルギー」の2つの部門の売上高とコストが掲載されている。

また、トータル売上高の下には「投資・デリバティブ損益」がある。この項目には保有株式の評価損益も含まれる。2018年の会計基準の変更に伴って載るようになった。それ以前は評価損益は反映されず売却損益のみが保険&その他に含まれていた。

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2007年~2019年の保険&その他(2018年に統合された金融・金融商品部門を含む)と鉄道・公益・エネルギーの売上高の推移をグラフにした。2008年を除いて売上高は右肩上がりに増えている。

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続いて税引き前利益の推移。2017年までは投資の売却損益が含まれていたこともあり保険&その他は変動が大きい。

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純利益の内訳を保険引受、保険投資収益(配当や金利収入)、鉄道、公益・エネルギー、製造・サービス・小売の5セグメントで見たのが下のグラフになる(こちらは投資の売買および評価損益を除いているため継続性がある)。

最も大きい利益を出しているのは製造・サービス・小売で、続いて鉄道>保険投資利益>公益・エネルギー>保険引受の順になっている。

5つのセグメントを合計すると、2018年は217億ドル、2019年は239億ドルの純利益となる。景気がよければこれくらいの利益を出せるということだろう。

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2020年上半期の純利益の内訳はこちら。投資・デリバティブ損益とその他(主に減損)を除く5セグメントで比較すると純利益は前年比-8%の減益だった。景気の落ち込みに比べると比較的安定していると思う。

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〇 株式投資からの利益

株式投資の実現損益や評価損益は変動が大きすぎて単年で見ても意味がない。他の方法で利益を見積もる必要がある。

 

① 内部留保

配当を除いた内部留保のうちバークシャーの持分を利益と考える方法。

アニュアルレポートには保有金額トップ10の銘柄の配当を除く内部留保(バークシャーの持分)が83億ドルだったと記載されている。

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② 株式投資の期待利益

投資資金が大きくなりすぎて高パフォーマンスを出すのが難しくなったとはいえ、少なくとも市場平均程度の利益は期待したいところだろう。

このページによると過去50年のS&P500の年間利益率は8%程度だったそうだ。現在の配当利回りの約2%を差し引くとキャピタルゲインは約6%程度が期待できることになる。

2Q時点のバークシャーの株式保有額は2,074億ドルだったので6%だと124億ドル、税金を差し引いて100億ドル程度となる。最低限これくらいの利益を期待してもいいのではないだろうか。

 

〇 余剰キャッシュ

批判も多いバークシャーのキャッシュについて。

バランスシートの保険&その他の項目(鉄道・公益・エネルギーは別となっている)のうち株式資産と株式以外の投資資産(現金・短期債・債券・その他の投資資産)の推移をグラフにした。

株価の値上がりもあり株式資産が右肩上がりに増えているが、株式以外の投資資産も徐々に増えていることが分かる。

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続いて株式以外の投資資産と総資産(保険&その他)、株主資本、フロートに対する比率をグラフにした。

総資産や株主資本に対する比率は減っているが、株価の値上がりで株式資産が膨らんだことも影響していると思われる。

長期で見るとより安定しているのがフロートに対する比率で、2009年と2010年を除いて100~120%程度で推移している。2020年2Qは124%まで上がっているが、ドミニオン・エナジーから天然ガス事業を買収したことで比率も多少下がったと思われる。

こうしてみると株式以外の投資資産は絶対額で見ると大きいものの、資産も膨らんだため比率で見ると比べてそこまで大きくはないのかなという気はする。

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〇 バリュエーション

事業からの利益と株式投資の期待利益を足すと300~350億ドルくらいの純利益は期待できるのではないかと思う。

現在の時価総額は5,089億ドルなのでPERは15~17倍くらいになる。

標準的な数字ではあるが、収益の安定性、稼いだキャッシュを利益成長に結びつける信頼性、格付けAAという財務健全性からするともう少しプレミアムがついても良いと思う。