9517 イーレックス 2020年3月期2Q決算

新電力の老舗。電力小売りとバイオマス発電を行っている。

中間決算は好調で大幅な増収増益となった。経常利益の進捗率は75%と高い(前年35%、前前年51%)。

売上高 415億円(前年比+35%)

経常利益 54億円(前年比+225%)

純利益 31億円(前年比+234%)

 

2Q単体でも大幅な増収増益。前年2QがJEPX価格の高騰で落ち込んだという要因もあるが、前前年の経常利益12億円と比べても大きく伸びている。

売上高 255億円(前年比+39%)

経常利益 35億円(前年比+569%)

純利益 18億円(前年比+793%)

 

四半期ごとの経常利益の推移を見ると2Qの利益が異常に大きくなっている。

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JEPXのシステムプライス(Day Ahead 24 hours)の月平均値の推移。

イーレックスによると4~9月の平均は8.4円(kWh)で前年の10.1円から大きく低下している。ちなみに前前年を計算すると8.8円となる。

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高圧事業の売上高は+1.2%の増加、販売電力量は+6.6%の増加。1Qの+14.4%、+22.5%から大きく減速している。

低圧事業の売上高は+22%の増加、販売電力量は+19.6%の増加。需要家件数は14万件。需要家件数、販売電力量ともに計画を下回っている。低圧事業の需要家件数は2018年の中頃まで四半期ごとに1万件増えていたが、直近では3四半期連続で4千件の増加に留まっている。

高圧事業も低圧事業も競争激化で厳しいなかで全体の売上高が35%も伸びているのは卸売が大きいのだと思われる。2Qの好業績も電力小売以外の貢献が大きいのではないかと思う。

ただ、この会社は高圧、低圧、卸売、発電それぞれの売上高と利益を開示していないので正確なところは分からない。

 

新規発電所は豊前と大船渡発電所が来年1月より本格運転開始。両施設の発電出力は7.5万kWと大きい(既存の土佐は2万kW、佐伯は5万kW)。豊前は出資比率65%で全量外部へ販売、大船渡は出資比率35%で全量erexへ販売する。

沖縄は21年7月に運転開始という計画。発電出力4.9万kW。出資比率45%で全量erexへ販売。

過去の資料では発電部門のみで21年3月期に年間30億円以上、沖縄と坂出も稼働する26年3月期に50~70億円の純利益への寄与と書かれていた。

 

今期EPSは76.34円の予想でPERは20倍となる。

進捗が良いことや新規発電所2か所が運転開始するのはプラス材料だが、電力小売の伸びがかなり減速していることは気になる。また、20年4月には一般家庭向け規制料金が撤廃されるというマイナス材料もある。