ALB アルベマール 2019年3Q決算

特殊化学品メーカー。リチウム、臭素、触媒などを作っている。

リチウムでは最大手の一角。チリのアタカマ湖とオーストラリアのグリーンブッシュ鉱山(持分49%)からリチウム化合物を生産している。アタカマ湖とグリーンブッシュ鉱山はかん水系と鉱石系でベストの資産。

 

3Qは売上高+13%の増収、純利益+20%の増益、調整EBITDA+8%の増益。希薄化EPS1.46ドル。

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セグメント別の前年比は、リチウムが売上高+22%・利益+13%、臭素が売上高+10%・利益+11%、触媒が売上高+4%・利益+8%となっている。

年ベースの3セグメントの売上高の推移(2019年は3Qまでの数字)が下グラフ。

リチウムがセグメントに出たのが2015年でそれ以降に大きく伸びていることがわかる。臭素と触媒は横ばい。強いて言えば臭素がやや伸びている一方で触媒はやや弱い感じ。

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セグメントEBITDA。この会社はセグメントの組み換えが多いため継続的な数字が分かるEBITDAを見る。

なお、リチウムと触媒のセグメント利益はEBITDAの80%程度、臭素は85%程度となっている。

こちらも売上高と同じくリチウムが大きく伸びている。2018年は全体の53%を占める。

臭素はやや右肩上がり、触媒はやや右肩下がりとなっている。

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 EBITDA利益率。

リチウムは40%を超えている(3Q単体は39%)。臭素や触媒も25~35%という高収益。

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2006年から2018年の年ベースの売上高と営業利益の推移。

2014年頃までは横ばいで思ったほど伸びていないかなという感じだが、リチウムが加わって以降は成長率が高くなっている。

なお2015年は Chemetall Surface Treatment が入っているため売上高が大きいが、この事業は翌年に売却している。

リーマンショックの2008年や2009年も業績は落ちているものの赤字にはなっておらず、景気が悪くてもそれなりに利益を出せるようだ。

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2019年のガイダンスは調整EBITDAが1.02~1.06Bドル、EPSが6.00~6.25ドル。それぞれ1.07~1.14Bドル、6.25~6.65ドルから下方修正された。

現在の株価は67.98ドルなので今期PERは10.9~11.3倍となる。 

2020年のガイダンスはリチウムがマイナス、触媒と臭素はフラット。EBITDAは10%程度の減少になるとのこと。

 

リチウム事業について。

・3Qの売上高は+22%。数量+22%、価格+1%の貢献。

・国際価格は前年比で30%の下落。アルベマールは長期契約を主としているためいまのところ影響を受けていないが、今後は影響が出てきそう。

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・中国の炭酸リチウム価格は7ドル/トン。キャッシュコストまで落ちているためこれ以上下がることはないと見ている。しかし、この中国の価格が国際価格に下落圧力を与えている。

・新たな供給は需要増加に追い付かないと見ているが過剰在庫がある。最低でも6か月分で2~3倍のレベル。これが2020年も価格に影響を与える。

・2020年の数量は5~7.5Ktの増加を見ている。キャパシティの拡大はないが XinyuⅡが通期でフル稼働する。

・125Ktのキャパシティ拡張を延期したことで1.5Bドルが必要なくなる。2021年にはフリーキャッシュフローがプラスになる。

・Wodginaの見直し。出資比率を50%から60%に高める一方で、Kemertonの水酸化リチウムプラントの40%をミネラルリソーシズに譲渡。

・スポジュメン鉱石の供給過剰からWodginaは生産停止。2021年に完成するKemertonの水酸化リチウムプラントに供給する。