リチウム銘柄ニュース

リチウム銘柄に関連する最近のニュースで気になったもの。

 

China’s electric vehicle sales are now declining by double digits

中国のEV販売は7月に前年比マイナスとなり8月は前年比-16%まで落ち込んだとのこと。補助金カットが原因だが、EV販売において中国のシェアは高いので影響が大きい。EV Salesによると、1月~7月の世界のEV販売が126万台なのに対して中国の販売は70万台となっている。政策主導で実需がわかりにくい中国市場がEVの主役になっているのは問題だと思う。中国のおかげでEVの販売台数は大きく伸びたが、どこまで実力で売れているのかが分かりにくい。

 

Chilean lithium producer SQM bullish on white gold demand; shares rise

SQMはリチウム需要について強気な見方を示したものの需要の数字は下方修正している。これまでは2025年に1,000KtLCEと言っていたが、今回の見通しは820Kt(744-914Ktレンジ)となっている。

 

独VW、戦略EV「ID.3」を初披露 350万円未満に

フォルクスワーゲンが低価格のEVを発表した。リーフと比べて価格は約2割安く走行距離は約2割長いとのこと。先行販売の納車は2020年夏から。

EVが本格的に普及するかはヨーロッパが試金石となりそう。

 

豪:Bald Hillリチウム鉱山を操業するAlita Resources社、経営再建手続きを開始

アリタリソーシズ(タワナリソーシズが合併により誕生した会社)が破綻。昨年オーストラリアで鉱山の操業を開始した会社のひとつで、スポジュメン精鉱を生産して中国に輸出するモデルを採用している。同業はピルバラミネラルズ、アルチュラマイニング、ギャラクシーリソーシズ。

現在スポジュメン鉱石は供給過剰になっており価格の下落が続いている。資産のクオリティやパートナーの弱い会社から破綻が始まったということだろう。

 

豪:Pilbara Minerals社、韓国で水酸化リチウム・炭酸リチウム製造工場建設に向けた基本合意書をPOSCO社と締結、Pilgangooraリチウム鉱山のパートナー募集プロセスは終了

ピルバラミネラルズのピルガングーラは規模的には一級品で、かつパートナーもガンフォンやポスコなど一流どころが揃っている。にもかかわらず鉱山権益の一部売却は実現できなかった。

 

Tianqi puts world’s biggest lithium plant expansion on hold

豪:Tianqi Lithium社、WA州Kwinanaの水酸化リチウム製造工場第2ステージの作業を中断

ティエンチがオーストラリアで進めているKwinanaプロジェクトのステージ2がストップした。Kwinanaはグリーンブッシュ鉱山のスポジュメン精鉱を使って48Ktの水酸化リチウムを生産するプロジェクト。現在はステージ1(キャパシティ24Kt)が試運転中。

これまでアルベマールが生産計画を下方修正しているが、アルベマールの計画はかなり将来の話でそもそもプロジェクトの実現性が疑問視されていた。今回のティエンチのプロジェクトは来年生産開始という予定だったのでインパクトは大きそう。

 

今後のリチウム市場だが、まず足元の中国のEV販売台数に注目だと思う。これまでのところ供給は過剰だが需要は問題ないという話が多かった。しかし中国の販売低迷が続くのであれば需要減でリチウム市場がさらに落ち込みそう。

ただ、需要が下振れれば更なるプロジェクトの延期や中止が出るだろうから将来の需給にはプラスになるかもしれない。

今後2~3年で見れば多数のEVモデルが発売されるヨーロッパ市場が鍵になりそう。ヨーロッパでEV市場が急速に立ち上がればプロジェクトの延期・中止と合わせて需給の好転が期待できると思う。楽観シナリオだが。