中国のクリーンエネルギー銘柄の中間決算

バリュエーションが非常に割安な中国のクリーンエネルギー銘柄の中間決算を見てみる。

 

まず現在のPERと配当利回り。

風力トップの龍源電力のPERは8倍と他の会社よりやや高い。親会社が非公開化を検討と発表した華能新能源は株価が急騰したことでバリュエーションが龍源電力並みに切り上がった。

その他の銘柄のPERは5倍前後とかなり低い。さらに京能清潔能源や新天緑色能源の前期基準の配当利回りは6%を超える。

コード 会社 株価 時価総額 実績PER 実績配当
0916 龍源電力 4.55 36,566 8.1 2.5%
0958 華能新能源 2.64 27,896 7.9 1.9%
0816 華電福新能源 1.36 11,435 5.0 4.8%
0579 京能清潔能源 1.26 10,388 4.1 6.1%
0956 新天緑色能源 2.07 7,690 5.4 6.9%
1798 大唐新能源 0.78 5,673 4.5 2.9%

 

次に中間決算の売上高、営業利益、純利益、一株利益の前年比と税前利益率。

増収増益は華能新能源、華電福新能源、新天緑色能源の3社。特に華能新能源が好調な数字だった。華電福新能源と新天緑色能源の営業利益は3割以上伸びたが純利益や一株利益の伸びは営業利益の伸びをかなり下回っている。

龍源電力、京能清潔能源、大唐新能源は横ばいか微減益でいまひとつの決算だった。

税前利益率は華能新能源の52%が頭抜けている。その他は20~30%程度となっている。

コード 会社 売上高 営業利益 純利益 一株利益 税前利益率
0916 龍源電力 5% 3% 0% 0% 31%
0958 華能新能源 13% 20% 35% 32% 52%
0816 華電福新能源 11% 35% 16% 8% 24%
0579 京能清潔能源 0% -2% 4% -13% 21%
0956 新天緑色能源 31% 33% 18% 15% 23%
1798 大唐新能源 3% -1% -7% -7% 27%

  

各社の筆頭株主とセグメント別の売上・利益の比率は以下のとおり。

 

・0916 龍源電力

風力最大手。筆頭株主は国有石炭大手の神華集団。

中間決算では風力発電が売上高の69%、セグメント利益の95%を占めている。石炭発電は売上高の26%。

 

・0958 華能新能源 

中国5大発電企業の中国華能集団が筆頭株主。太陽光発電も手掛けているがほぼ風力の会社。

 

・0816 華電福新能源

中国5大発電企業の中国華電集団が筆頭株主。

中間決算の売上高の比率は風力37%、太陽光7%、水力16%、石炭火力28%、天然ガス12%。営業利益の比率は風力56%、太陽光11%、水力24%、石炭火力6%、天然ガス3%。

風力の営業利益が-11%と減益だったが、水力と石炭火力の大幅増益でカバーした。

 

・0579 京能清潔能源

北京市政府傘下の北京能源集団が筆頭株主。

中間決算の売上高の比率は天然ガス火力と熱エネルギー77%、風力13%、太陽光8%。セグメント利益の比率は天然ガス火力と熱エネルギー57%、風力22%、太陽光20%。

 

・0956 新天緑色能源

民営の大手建設会社の河北建設集団が筆頭株主。

中間決算の売上高の比率は天然ガス67%、風力と太陽光33%。セグメント利益の比率は天然ガス28%、風力と太陽光72%。前年比では天然ガスの利益が倍増している。

 

・1798 大唐新能源

中国5大発電企業の中国大唐集団が筆頭株主。太陽光発電も手掛けているがほぼ風力の会社。

 

過去数年の成長率を見ると、京能清潔能源と新天緑色能源は大幅増収増益になったり減収減益になったりあまり安定していない。他の会社も年によって成長率にばらつきがあって一定のペースで安定して伸びているとは言えなさそう。

業績がいつ大きく伸びるかは会社を詳しく調べる必要がありそうだし、あと補助金の問題もあるので大きく投資するのは業界の知識がないと怖いかなと感じる。

数字的には新天緑色能源のバリュエーションや成長率が申し分ない。他社と違って親会社が民営企業なのが少し不安な点。

ネットの有利子負債は華電福新能源と大唐新能源がやや多く営業利益の20年分くらいある。その他は10~12倍程度となっている。