ALB アルベマール 2019年2Q決算

リチウム最大手の一角。チリのアタカマ湖とオーストラリアのグリーンブッシュ鉱山(持分49%)からリチウム化合物を生産している会社。アタカマ湖とグリーンブッシュ鉱山はかん水系と鉱石系でベストの資産。

昨年7月にはミネラルリソーシズからオーストラリアの Wodgina 鉱山の50%の権益を買収した。この鉱山も最大クラスの資源量を誇る。

 

2Qの売上高は4%の増収、営業利益は-52%の減益、調整EBITDAは1%の増益だった。

営業利益の大幅減益は前年にビジネスの売却があったため。それを除くと営業利益の大きな落ち込みはない。

希薄化EPSは1.45ドル、調整EPSは1.55ドル。今期のEPSガイダンスは6.25~6.65ドル。

決算翌日に株価は大きく上げた。株価73ドルで今期PERは11~12倍くらいになる。

 

リチウムセグメントを見ると2Qの売上高は2%増収だった。数量が3%、価格が2%の貢献。

調整EBITDAは前年比で変わらず。EBITDAマージンは44%と高水準を維持している。

リチウムセグメントは全体の売上高の37%、調整EBITDAの54%を占める。

下半期のリチウム数量は中国のXinyuⅡの貢献もあり15,000~20,000トン増加するとのこと。XinyuⅡのキャパシティは水酸化リチウム20,000トン。年末までにフル生産に達する。

下半期の販売価格は横ばいかやや下落を想定する。2019年通期では横ばいかわずかな上昇となる。なおアルベマールは長期契約が主体なのでマーケットの価格変動の影響は少ない。

 

決算と同時にキャパシティ拡張計画の大幅な削減を発表した。従来の325,000~350,000トンLCEが新計画では225,000トンLCE(ミネラルリソーシズの持ち分40,000トンを含む)となる。かなりのインパクト。

これに伴って資本投資の金額は1.5Bドルの減少となり、フリーキャッシュフローは2021年にプラス転換する。

・従来の計画

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・新計画

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その他のメモ

・ミネラルリソーシズとのジョイントベンチャーの出資比率を60%に引き上げる。オーストラリアで建設中のKemertonのプラント(水酸化リチウム50,000トン)も60%の持ち分となる。プラントは2021年の上半期に稼働の予定。

・チリのLa Negraでは40,000トン近い炭酸リチウムを生産する。さらにキャパシティ40,000トンのLa NegraⅢ・Ⅳの拡張が2021年1Qに完了する予定。ただし品質検査のプロセスなどもあるため2021年の販売量の大きな増加は予想しない。

・炭酸リチウムの価格下落はしばらくは続く見込み。

・需要は強いことに変わりない。水酸化リチウムは予想よりも強いかもしれない。

・供給面ではいくつかのプロジェクトに遅れが出ている。また現在の市場環境では運営の難しいプロジェクトも出てくる。在庫は減少していると考える。2020年は需給が引き締まるのではないか。

・今後数年で811(ニッケルメインの正極材で水酸化リチウムを使用する)がEVの主要になるとは考えていない。技術的な難しさがある。

 

アルベマールはリチウム以外のビジネスが半分を占めていること、長期契約を基本にしていることからリチウムの価格変動の影響を受けにくい。同業他社が軒並み業績悪化している中でもほとんど利益が落ちていない。逆に言えばリチウム価格が上昇しても恩恵を受けにくい銘柄ともいえそう。