2000年1Q~2018年2Qまでの円建ての原油価格と業種別の営業利益率を比べてみました。
原油価格は世界銀行から取得した Crude oil, average の3か月平均(四半期の営業利益率と比較するため)です。これを日銀の為替レートで円換算しました。
業種別の営業利益率は法人企業統計の数字です。対象企業は資本金10億円以上の大企業です。期間中のデータが完全に揃っていない業種は除きました。
相関係数のマイナスが大きかった(原油安メリット)10業種はこちらです。
なお、全体や景気との連動も見るために全産業や製造業との相関係数も載せておきます。
円建て原油 | 全産業 | 製造業 | |
---|---|---|---|
電気業 | -0.62 | 0.02 | 0.10 |
パルプ・紙・紙加工品製造業 | -0.50 | 0.11 | 0.31 |
印刷・同関連業 | -0.44 | 0.05 | 0.42 |
ガス・熱供給・水道業 | -0.30 | -0.08 | -0.11 |
化学工業 | -0.18 | 0.64 | 0.69 |
生活関連サービス業 | -0.09 | 0.12 | 0.17 |
その他の運輸業 | -0.07 | 0.30 | 0.30 |
水運業 | -0.06 | 0.13 | 0.49 |
農林水産業(集約) | -0.02 | 0.08 | 0.12 |
その他の製造業 | -0.02 | 0.43 | 0.65 |
上位の 「電気業」「パルプ・紙・紙加工品製造業」「印刷・同関連業」「ガス・熱供給・水道業」はイメージどおりかなと思います。「全産業」との相関もそれほど高くないので原油価格に素直に反応するのではないでしょうか。
続いて「化学工業」が入っていますが、こちらは原油価格よりも「全産業」や「製造業」との相関が高いので景気循環の影響の方を強く受けそうです。
それ以下の業種はマイナスの値ですが数字自体は高くないです。
「電気業」「パルプ・紙・紙加工品製造業」「化学工業」の営業利益率と原油価格を散布図で見てみます。グラフの左軸は営業利益率(%)、下軸は円建ての原油価格です。
電気業はかなりきれいな右下がりのグラフです。
パルプ・紙・紙加工品製造業も悪くないです。
化学工業は微妙です。心持ち右下がりに見えるかなといった程度です。
なお、左下に一つ飛び出ているのはリーマンショックの影響があった09年1Qの利益率です。
次に相関係数のプラスが大きかった(原油高メリット)業種です。
トップは「鉱業、採石業、砂利採取業」で納得できますが、それ以下は「広告業」「小売業」「その他の輸送用機械器具製造業」と関連性がいまいち不明な業種が上位に来ています。全体的に内需系の業種が多く入っている印象を受けますが、どう解釈していいのかよく分かりません。
なお、円建て原油価格と「全産業」の相関係数は0.19、「製造業」の相関係数は0.1です。
円建て原油 | 全産業 | 製造業 | |
---|---|---|---|
鉱業、採石業、砂利採取業 | 0.65 | 0.07 | 0.11 |
広告業 | 0.44 | 0.05 | 0.08 |
小売業 | 0.43 | 0.41 | 0.24 |
その他の輸送用機械器具製造業 | 0.42 | 0.09 | 0.10 |
情報通信業 | 0.41 | 0.55 | 0.11 |
不動産業 | 0.39 | 0.72 | 0.57 |
窯業・土石製品製造業 | 0.37 | 0.54 | 0.72 |
サービス業(集約) | 0.35 | 0.58 | 0.09 |
生産用機械器具製造業 | 0.33 | 0.71 | 0.77 |
電気機械器具製造業 | 0.26 | 0.79 | 0.85 |