マカオのカジノ株 その2

前回の記事でアメリカ系の3社を見たので今回は中国系の3社を見てみます。

 

0027 ギャラクシー・エンターテインメント

サンズ・マカオと首位を争う会社です。

主なカジノリゾートはマカオ半島地区のスターワールド(2006年)とコタイ地区のギャラクシー・マカオ(2011年)です。ギャラクシー・マカオは5つのホテルを含む宮殿のような巨大カジノリゾートです。

 

業績は下のグラフのとおりです。利益率は一桁の年もありますが、2017年は17%まで上がっています。

f:id:sapa21:20181104123216p:plain

 

カジノ別の売上高を見るとギャラクシー・マカオは445億HKドルもあります。コタイ地区の他の大型カジノリゾートの売上高は200億HKドル前後なので非常に大きい数字です。

会社はギャラクシー・マカオをさらに拡張していく計画で、2019年にはフェーズ3として新たなホテル・カジノスペースがオープンする予定です。

f:id:sapa21:20181104123729p:plain

 

調整EBITDAを見るとギャラクシー・マカオはピークを更新しています。EBITDAマージンは20%前後で推移していましたが、2017年は25%まで上がっています。

f:id:sapa21:20181104124234p:plain

 

財務は良く、キャッシュの175億HKドルに対して有利子負債は99億HKドルです。

中間決算は売上高+25%の増収、純利益+56%の増益でした。純利益率は26%まで上がっています。ギャラクシー・マカオ、スターワールドともに大幅な増収増益で調整EBITDAマージンは30%を越えています。

ただ、3Q単体は売上高+6%の増収、調整EBITDA10%の増益とやや減速しています。

 

株価は47.9HKドルで、実績PERは19.3倍、実績の配当利回りは1.6%です。配当利回りが低いのですが、2018年はここまで配当を倍増させています。

旗艦カジノのギャラクシー・マカオは好調ですし拡張による成長も期待できます。バリュエーションもほどほどで悪くないと思います。

 

0800 SJMホールディングス

マカオのカジノ王ことスタンレー・ホーが率いていた会社です。2002年までマカオのカジノ経営権を独占していました。

旗艦カジノはマカオ半島地区にあるグランド・リスボア(2008年)です。2017年のグランド・リスボアの売上高は148億HKドル、純利益は14億HKドルで、会社の売上高の36%、純利益の72%を占めます。

2019年にはコタイ地区にグランド・リスボア・パレスがオープンする予定です。

 

SJMは2014年まではNo1の規模を誇るカジノ運営会社でしたが、コタイ地区の開発に出遅れたことで近年業績は低迷しています。2017年も各社が業績を回復させている中でSJMは横ばいに留まっています。純利益率も1ケタ台と低いです。

f:id:sapa21:20181104160618p:plain

 

財務は健全でバランスシートにあるネットの有利子負債は19億HKドルと純利益の1年分です。

中間決算は売上高+10%の増収、純利益+57%の増益でした。

3Q単体はゲーミング収入+9.5%の増加、調整EBITDA+26.7%の増益、純利益+65.1%の増益とのことです。

 

株価は6.79HKドルで、実績PERは19.6倍、配当利回りは2.9%です。

割高感はないので、グランド・リスボア・パレスが順調に稼働してくれれば割安になりそうです。 

 

0200 メルコ・インターナショナル・デベロップメント

子会社のメルコ・リゾーツ&エンターテインメント(ナスダック上場)がマカオやフィリピンでカジノを運営しています。

メルコ・リゾーツは2004年にオーストラリアのクラウン社との合弁で設立されましたが、2017年2月に持分を51.3%に引き上げ子会社化しています。

主なカジノはアルトリア(2007年)、シティ・オブ・ドリームス(2009年)、スタジオ・シティ(2015年)、シティ・オブ・ドリームズ・マニラ(2015年)です。2021年にはキプロスにカジノリゾートを開業予定です。

 

2017年の業績は売上高411億HKドル、純利益4億HKドルでした。

純利益はかなり波が激しいうえ、2015年まではメルコ・リゾーツを連結していなかったため過去の業績の推移を見るのが難しいです。

 

カジノ別の売上高は下のグラフのとおりです。

シティ・オブ・ドリームスの売上が最も大きく26億ドル(208億HKドル)、続いてスタジオ・シティ、シティ・オブ・ドリームス・マニラ、アルトリアという順です。

テーブル数は、シティ・オブ・ドリームス475台、スタジオ・シティ290台、シティ・オブ・ドリームス・マニラ293台、アルトリア100台となっています。

f:id:sapa21:20181104194132p:plain

 

調整EBITDAです。

シティ・オブ・ドリームスが大きく、スタジオ・シティとシティ・オブ・ドリームス・マニラが続きます。アルトリアは利益面の貢献は少ないです。

EBITDAマージンはシティ・オブ・ドリームス30%、スタジオ・シティ25%、シティ・オブ・ドリームス・マニラ36%です。

f:id:sapa21:20181104194836p:plain

 

バランスシートのネットの有利子負債は226億HKドルあります。上半期の税前利益は10億ドル、調整EBITDAは55億です。

中間決算は売上高2%の減収、純利益110%の増益でした。純利益が大きく伸びているのはその他の費用や金融費用が減ったことが理由です。

各カジノは主力のシティ・オブ・ドリームスが1桁ながら減収減益、スタジオ・シティが堅調、シティ・オブ・ドリームス・マニラが減収増益でした。他の会社が好調な中であまり伸びていません。

 

株価は13.84HKドル、実績PERは44.6倍、配当利回りは0.4%です。中間のEPSを2倍すると今期PERは31.4倍になります。利益率は低いので業績改善の余地はありそうですが、実力が分かりにくい印象でした。