中国のネット株

かなり大きく売られている銘柄が多いので、好みの銘柄のPERをチェックしてみました。

 

コード 会社名 株価 PER(実) PER(予) 直近四半期
増収率
直近一年間
売上高
0700 Tencent 337.0 35.0 32.8 30% 41,821
BABA Alibaba 172.8 47.0 29.1 61% 37,540
BIDU Bidu 222.7 20.3 21.7 24% 14,089
JD JD 32.2 290.3 53.7 33% 62,449
WB Weibo 74.9 35.8 26.8 68% 1,474
YY YY 73.6 11.2 10.0 45% 2,061
MOMO Momo 38.2 21.6 15.2 64% 1,488
SOGO Sogou 9.1 36.4 37.9 43% 1,085

※実績PERは直近4四半期のEPSで計算しています。

※予想EPSはYahooFinanceの数字を使いました。

※直近1年間売上高の単位は百万ドルです。

 

YY

ライブストリーミング大手。ゲーム動画配信サイトのHUYAを子会社に持ちます。

2Qの業績は+45%増収、+19%営業増益と堅調でした。HUYAを除くYY単体では+27%増収、+19%営業増益です。

3Qのガイダンスは+25~30%の増益と成長鈍化ですが、会社はワールドカップの放送時間とライブストリーミングのピーク時間が重なることが原因と言っています。

株価は決算後に暴落しており、現在のPERは実績11.2倍・予想10倍という低評価です。いま中国で爆発的に人気が出ているショートムービーとの競争が不安材料になっているようです。ただ、それを差し引いても割安だと思います。

 

Bidu

検索最大手です。

2Qは+24%増収、+29%営業増益でした。PERは実績20.3倍(前年3Qは特別利益が大きいです)、予想21.7倍です。 

バイドゥは新規事業への投資や医療広告不正事件によってしばらく業績が落ちましたが、ここ1年は復調傾向です。ただ、営業利益率は20%弱でかつての50%超えからするとまだ低い水準です。

検索以外の事業は、2017年にフードデリバリーをライバルに売却し、2018年に動画サイトのiQiyiをスピンオフでIPOして現在はAIに注力しています。AI向けのプロセッサ、音声アシスタンスDuerOS、自動運転プラットフォームApolloといったビジネスです。

決算は堅調でPERも手ごろな数字ですが、グーグルが中国再参入を検討という悪材料が出ています。実現すればかなりのインパクトがありそうです。

 

Weibo

テンセントの WeChat と並ぶ二大SNSの一角です。

2Qは+68%増収、+76%営業増益でした。月間アクティブユーザーは431百万人で前年同期比で70百万人の増加とのことです。PERは実績36倍・予想27倍になります。

この会社は成長率が非常に高いですね。売上はバイドゥの10分の1と小さいので伸びる余地も大きそうです。ただし、営業利益率は36%とかなり高いので大幅改善は期待しにくいかもしれません。

不安材料としてはショートビデオプラットフォームの Douyin(TikTok)を持つ Bytedance と激しく対立しているところです。Bytedance はニュースプラットフォームの Toutiao を運営しており Weibo (あるいは親会社のSina)は脅威を感じているようです。

 

JD

アリババに次ぐECの大手です。アリババの天猫がモール型なのに対して、JDは自社で販売・配送を手掛けるアマゾン型です。

2Qは+31%の増収、営業赤字でした。直近1年の売上を使ったPSRは0.7倍で過去最低の数字になっています。

とはいえPSRは結局のところ利益率次第です。PSR0.7倍は利益率10%でPER7倍、利益率5%でPER14倍、利益率1%でPER70倍になります。2017年のアマゾンのAWSを除く北米事業の営業利益率が2.7%(直近四半期はかなり改善して5.7%)なので、小売単体で高い利益率を出すのはなかなか難しいかもしれません。

あとは売上の成長率が徐々に低下しており30%を割れそうなのも気になります。赤字ならば目を見張る成長率が欲しいところです。

 

(追記)

Momo

ライブストリーミング大手。

2Qは+58%の増収、+91%の営業増益と好調でした。月間アクティブユーザーも前年比+18%の増加です。

PERは実績21.5倍、予想17.3倍とYYに比べて評価されています。

モモは今四半期にマッチングサービスのタンタンを買収しました。タンタンは中国の Tinder と紹介されるマッチングサービスのトップで、有料会員は3.1百万人です。なお、モモ単体はこの市場では2番手だったそうです。

2Qではタンタンの業績の1か月分が連結されています。マッチングサービスが入る Value-added Service は全体の1割弱の売上高なので、当面のインパクトはそこまで大きくないかもしれません。