中国のクリーンエネルギー銘柄

中国株二期報を見たときにクリーンエネルギー銘柄に魅力を感じたので少し調べてみました。

クリーンエネルギー銘柄のなかでも龍源電力のPERはやや高めだったので、下の4社を見てみます。4社はいずれも5大電力の傘下の会社です。

0735 中国電力清潔能源

0816 華電福新能源

0958 華能新能源

1798 大唐新能源

 

なお、4社の発電量に占める各エネルギーの割合は以下のグラフのとおりです。

華能新能源と大唐新能源はほぼ風力メインの会社で、他の2社も風力は2~4割を占めています。

中国電力清潔能源と華電福新能源の電力構成は分散されていますが、中国電力清潔能源は天然ガスがメイン、華電福新能源は石炭火力と風力がメインとなっています。

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ちなみに中国電力清潔能源の年次報告書によると、中国の2017年の発電量は6,417.9十億kWhで前年比6.5%の増加でした。自然エネルギーの発電はそのうち26.4%を占めています。

エネルギー別では、火力が4,624.4十億kWh、水力1,194.5十億kWh、風力305.7十億kWh、太陽光118.2十億kWhとのことです。前年比では火力+5.2%、水力+1.7%、風力+26.3%、太陽光+78.6%です。

 

0735 中国電力清潔能源

2015年~2016年にかけて売上が大きく増加しています。これは天然ガスのキャパシティが大きく増えたためです。天然ガスの発電量は1,050MWhから4,780MWhへ4倍以上になっています。

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セグメント売上高です。2016年に天然ガスが大幅に増えています。

2017年は広東省の電力市場のリフォームによって天然ガスの発電量が3.8%減少したとのことです。

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セグメント利益です。2017年は天然ガスの利益が大幅に減ったことで風力の割合が高くなっています。

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2017年の発電キャパシティは3,903MWでしたが、現在トータルで714.28MWのキャパシティを建設中です。このうち東莞市で建設中の天然ガスの発電施設400MWが大きく、2020年に運転を開始予定とのことです。

 

会社の上半期の発電量は+8%増加で、各エネルギーは、天然ガス+11%、廃棄物発電+56%、風力+41%、水力-44%、太陽光+30%でした。

1~3月は24.8%だったので第2四半期は減速しています。この傾向は他社も同じです。

 

現在の株価は3.62香港ドルで、実績PER9倍、配当利回り2.8%です。

 

0816 華電福新能源

売上は緩やかに伸びていますが利益が横ばいです。

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セグメント売上を見ると、石炭火力を減らして徐々にクリーンエネルギーの比率を高めています。現在は風力が最も大きくなっています。

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セグメント利益は、石炭火力の利益がゼロ近くまで落ち込んでいる一方で風力が約6割まで増えています。クリーンエネルギーだけを見ると悪くない成長力ではないでしょうか。

なお、2016年は水力の割合が高くなっていますが、これは天候による恩恵を受けたものです。

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2017年の発電キャパシティは15,538MWです。

新設のプロジェクトとしては、風力769MWの承認、水力1,300MWが建設中、石炭火力は一つのプロジェクトが建設中、天然ガス1,550MWが建設中と全方向にキャパシティを拡大していく方針のようです。

 

1Qの決算は+18%増収、+27%増益という結果でした。

発電量は1~3月期は15.6%の増加で、各電量は風力+40%、石炭火力+36%、水力-48%でした。

上半期の発電量は+8.1%増加で、風力+25%、石炭火力+44%、水力-55%減です。

 

現在の株価は1.8香港ドルで、実績PER6.4倍、配当利回り2.6%です。

この会社は石炭火力が利益を出せるようになれば一気に業績が上がるのではないかなと思いました。

 

0958 華能新能源

過去3年の売上高の伸びは+20%→+26%→+14%と高いです。営業利益率も50%前後、純益率も30%近くと他社に比べて優秀です。

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発電量の推移です。ほぼ風力の会社です。

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2017年のキャパシティは風力10,686MW・太陽光880MWでトータル11,566MWでした。

建設中のプロジェクトは風力634MW・太陽光97.8MWで、トータル3,043MWの開発が合意済みとのことです。

 

1~3月の発電量は+19.8%増加で、風力+20%、太陽光+20%でした。

1~6月の発電量は+14.7%増加で、風力+14.8%、太陽光+13.7%です。

 

株価は2.96香港ドルで、実績PER8.5倍、配当利回り1.2%です。

 

1798 大唐新能源

2017年までは売上が横ばいで営業利益は微減となっています。

この会社の営業利益率は40%前後と高いものの、利払いが負担になって純利益率が低迷していました。

しかし、2017年に売上が2割以上も増えたことで純利益も大きく伸びています。

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発電量の推移です。ほぼ風力の会社です。

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1Q決算は+44%増収・+376%増益でした。純利益率は26%まで高まり華能新能源に匹敵する数字となりました。

1~3月の発電量は+45.9%増加で、風力+46%、再生可能エネルギー+22%でした。

4~6月の発電量は+16.5%増加で、風力+17%、再生可能エネルギー+8%です。

 

株価は1.41香港ドルで、実績PERは14.1倍、配当利回りは1.1%です。

実績PERに割安感はありませんが、今期の売上高が2割伸びて純利益率が15%まで上がれば+76%増益でPERは9.5倍になります。

 

感想

クリーンエネルギーの会社も電力構成はまちまちですし、すべての会社が安定して成長しているわけでもなさそうです。

華能新能源、大唐新能源といった風力銘柄は成長力がありそうですが、配当利回りは1%台と低いです。

石炭火力が復活するのを見込むのなら華電福新能源が面白いかなと思いました。