リチウム銘柄の決算(FMC、ORE、GXY)

FMC

18年2Qの決算は、売上+92%増の1,262百万ドル、調整EBITDA+222%増の371百万ドル、調整EPS+271%増の1.78ドルでした。株価は88.09ドルです。

リチウムセグメントは、売上+46%増の108百万ドル、EBITDA+85%増の51百万ドルです。

前年比でリチウムの販売数量は+22%増加、炭酸リチウムや水酸化リチウムの販売価格は+20%以上になったとのことです。

リチウム価格については上昇がまだ続くと見ているようです。

中国ではスポット価格が下落していますが、これについては6月に施行された中国の補助金政策の変更(短距離→長距離EVへのインセンティブ)の結果として炭酸リチウムから水酸化リチウムへのシフトが起きており、それに伴うプラントの改修や在庫削減を理由に挙げています。

とりありず中国の炭酸リチウム価格はあまり役に立たないという見解です。 

FMCのアルゼンチンのキャパシティは2017年の実績が18Ktで、2018年は21Ktのガイダンスです。また、2019年に30Kt、2020年に40Ktに拡大する計画です。

なお、リチウムビジネスは Livent Corporation として2018年10月に分離上場する予定です。

 

Orocobre

四半期報告が出ています。

18年6月期の生産量は12,470トンと前年比+5%に留まっていますが、4Q単体では3,596トンまで伸びています。

販売価格は13,653ドルと前四半期からやや値上がりしており、コストは3,800ドルに低下しています。

中国以外の地域での炭酸リチウムの価格は堅調で、依然として需給はタイトとのことです。

中国での価格低迷については、補助金政策の変更やコンバージョンプラントのキャパシティを問題として挙げています。

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そのほかには、

・Olaroz ステージ2のCAPEXは285百万USドルで、生産量のキャパシティは42.5Ktに拡大するとのことです。

・豊田通商と10Ktの水酸化リチウムプラントを日本に建設する計画です。2019年末に最終的な投資判断を出すそうです。

・アドバンテージ・リチウムとのジョイント・プロジェクトである Cauchari の資源量が出ています。予測資源量3.0Mt@450mg/L。PFSは2019年3Qに出る予定です。

・プロジェクト債務を除いたネットのキャッシュは227百万ドルとのことです。

 

Galaxy Resources

前四半期比で生産量+9%増、販売量+3%増でした。コスト低下と販売価格の上昇でマージンも439ドル/トンから534ドルに増加しています。

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中国のリチウム価格の下落は政策変更に伴う在庫削減の動きとの見解で、下半期には回復に向かうのではという話です。

その他には Sal de Vida のDFSがアップデートされています。NPV8%は1.48十億ドル、年間生産量25Kt、生産コスト3,144ドル、CAPEX474百万ドルという内容です。

Sal de Vida は北部分をポスコに280百万ドルで売却しましたが、埋蔵量1.14Mt(LCE)を保持しています。

 

中国のリチウム価格の下落について

3社が理由に挙げているのは、補助金政策の変更に伴う在庫削減、炭酸リチウムから水酸化リチウムへのシフト、コンバージョンプラントのキャパシティ、あたりです。

どの会社も自社に都合の良い理由を挙げていますが(FMCは水酸化リチウムプラントを作っていますし、オロコブレはかん水の会社ですし、ギャラクシーは鉱石を中国に輸出するモデルです)、中国の価格が下がっているのに対して現在まで各社の販売価格に影響が出ていないのも事実です。

この中国の価格低迷が一時的な調整にすぎないのか、過剰供給が本物で国際価格も下落するのかはもう少し様子を見ていく必要がありそうです。

リチウム銘柄への投資については、中国の価格下落が単なる一時的な調整であると考えるならどの銘柄を買っても良いと思いますが、中国のプラントのキャパシティーが問題だと考えるなら鉱石を輸出する会社(ギャラクシー、ピルバラ、アルトラ、タワナなど)を避けて炭酸リチウムや水酸化リチウムまで手掛ける会社を選ぶのが良いと思いますし、供給過剰が本物と考えるならすべての会社に逆風なので手出し無用だと思います。