中国株二季報 2018年夏秋号 その2

中国株二季報の夏秋号を読んで気になった銘柄です。今回は自動車や製造業セクターです。

 

自動車

広州汽車、長安汽車、東風汽車といったPER5倍以下というかなり割安な銘柄があります。人気銘柄の吉利汽車もPER10倍弱まで落ちています。

自動車銘柄は減益になる年もあるので、内需系の銘柄に比べると評価がやや難しそうです。不安材料は、外資規制の撤廃や電気自動車の販売比率の義務付けなどでしょうか。

コード 会社名 株価 PER 配当 増収率 増益率
0175 吉利汽車 19.30 10.5 2.6% 25% 27%
0489 東風汽車 8.16 4.2 4.4% 2% 0%
1958 北京汽車 7.12 6.5 4.5% 9% 220%
2238 広州汽車 7.23 4.5 6.9% 26% 22%
2333 長城汽車 5.28 5.1 5.9% 18% 60%
200625 長安汽車 7.10 4.0 7.5%    
600104 上海汽車 34.73 8.8 6.7% 14% 10%

※業績数字は中国株二季報、株価はサーチナファイナンスより取得しています。

※PER、配当利回り、増収率、増益率は今期予想の数字です。人民元と香港ドルの為替レートは調整しています。

※株式分割などで数字がおかしい可能性もあります。

 

EV関連銘柄 

販売台数に応じて一定比率の新エネルギー車の販売を義務付ける規制が始まります。日経新聞によると2019年に全体の10%、2020年に12%とのことです。

なお、EV関連ではリチウム電池で世界トップのCATLが上場しましたが、深圳市場で取り扱いがないのが残念です。 

コード 会社名 株価 PER 配当 増収率 増益率
1211 BYD 46.85 23.5 0.4% 24% 19%
0819 天能動力 11.18 7.7 4.8% 12% 19%
1585 雅迪控股 3.02 18.8 0.0%    
3993 洛陽モリブデン 3.52 10.9 9.5% 15% 114%
600884 寧波杉杉 16.16 17.3 1.0% 48% -2%

 

BYD

前期は補助金の削減が響いて減益でした。自動車・関連部品の比率は売上の53%、利益の44%となっています。また、ガソリン車の販売が24万5千台だったのに対して、新エネルギー車の販売は11万台でした。

この会社はEV関連の筆頭ですが、携帯端末部品・組み立てが売上・利益の4割前後を占めているため、テスラのように純粋なEVの会社とは言えないかもしれません。

 

天能動力

リチウムイオン電池にも力を入れているとのことですが、電動自転車やスクーター向けの鉛蓄電池が主力です。取引停止になったことがあります。

 

雅迪控股 

電動スクーターの大手です。中国株二季報には掲載されておらず情報が少ないです。

前期実績は18%増収の37%減益でした。セグメントの売上は、電動スクーターが49%、バッテリー&チャージャーが25.5%、電動自転車が24.7%となっています。

中国では電動バイクが広く普及しており、輸出にも力を入れているそうです。

 

洛陽モリブデン 

モリブデン、銅、コバルトといった金属の生産をする会社です。コンゴのTenkeを買収したことで、コバルトは世界最大手の一角となりました。

業績は絶好調ですが、コバルト価格は底から4倍に値上がりしたあと大きく下落しています。直近では銅の下落も心配なところです。

 

寧波杉杉

上海A株ですが楽天証券では取り扱いがあります。

大手リチウム電池材料メーカーで正極材・負極材・電解液を手掛けています。リチウム電池材料は日本も強いのですが専業の会社が少ないです。この会社は大手かつリチウム電池材料が売り上げの72%を占めています。バリュエーションもほどほどで割高感はありません。ただ、中国語以外の情報がほとんど見当たらないのが難点です。

 

その他の製造業

売上が2割前後伸びていてPERが6~7倍という割安な銘柄が見つかります。製造業の会社は業績にブレがありそうですし、小型株は突如取引停止のリスクもあるため大きく買うのは怖いですが。

コード 会社名 株価 PER 配当 増収率 増益率
0148 建滔化工 27.50 5.4 7.9% 5% -1%
0189 東岳集団 6.09 5.0 10.6% 22% 45%
0698 通達集団 1.59 7.6 4.2% 18% 27%
1478 丘タ科技 5.70 8.6 1.9% 28% 42%
1812 晨鳴紙業 6.37 3.4 8.9% 18% 20%
2128 中国聯塑 4.86 7.6 3.5% 15% 7%

 

建滔化工 

ラミネート(積層板)、プリント基板の世界的大手だそうです。過去数年の売上成長率はそれほど高くないです。配当利回りが8%近くあります。

 

東岳集団 

冷媒製造大手。フッ素系ポリマーや有機シリコーンも同じくらいの比率です。

需要回復と環境規制を背景の業界全体が供給不足とのことで、2017年12月期に業績が急改善しています。PERは5倍・配当利回り10.6%と非常に割安です。

ただし、この会社は過去に不祥事を起こし2016年~2017年4月まで取引停止になっています。

 

通達集団

電子部品の会社です。金属筐体が主力で防水部品も生産しているとのことです。スマホでは華為やOPPO、パソコンではレノボやHP、自動車ではBYDが主要顧客と書いてあります。

売上・利益は順調に伸びており成長率は高いです。PERも7倍台と低く、数字的には文句のつけようのない会社です。

 

丘タ科技 

携帯端末部品メーカー。カメラモジュールや指紋認証モジュールが主力製品のようです。売上が3年で3倍以上という成長率の高い会社です。5月に中間期の5割以上の減益見通しを発表したとのことです。

 

晨鳴紙業 

大手製紙会社。前期の実績が非常に良かったです。パルプ・古紙の値上がりが製品価格を押し上げたとのことです。今期も大幅増収増益の予想となっており、バリュエーションは非常に低いです。1Qは15%増収・11%増益でした。

 

中国聯塑 

プラスチック製配管材料メーカー。水道、かんがい、電力・通信、ガス供給用など幅広い分野で使用されているとのことです。

過去4年の業績を見るかぎり、売上の成長率はそれほど高くないですが堅調に伸びています。