リチウムの需給

EVの普及に伴って需要が増加すると考えられているリチウムの需給についてです。

UBSのレポートによると、EV(シボレーボルトEV)普及率100%の世界でのリチウム需要の増加率は2,898%に達するとのことです。

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現在リチウムは正極材に使われています。

リチウムイオン電池というだけあって、正極材の材料の組み合わせに関わらず一定の使用量なので安心感があります。

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Fortune Minerals のプレゼンテーション資料

 

リチウムは金属価格の変化によるバッテリー価格へのインパクトが小さいのもプラスです。コバルトやニッケルに比べると影響がマイルドです。

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We’re Going to Need More Lithium

 

ただし、今後は大幅な供給増加が見込まれており、一般には供給過剰になるという予想が多いです。

・2016年のリチウム需要は18.2万キロトンLCEですが、首位のアルベマールだけで現在の8.9万トンの供給を2021年に16.5万トンまで増やす計画です。

・現在開発中のプロジェクトも目白押しで、アルベマールのプレゼンテーション資料によるとPFS(予備的な実行可能性調査)以上の段階にあるプロジェクトだけでも50万トン以上もの供給増加になります。

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・さらに上表には掲載されていない初期段階のプロジェクトでも、世界最大級の資源量を誇るというプロジェクトがいくつもあります。

 

ただ、単純に供給過剰になるのかというとそうとも言い切れません。EVに使用するリチウムの量は非常に大きいため、普及率によって需要が大幅に変わってくるためです。

SQMのプレゼンテーション資料によると、EV普及率(8%~12%)や1台当たりの使用量の違いによって2025年時点でのリチウム需要は50万トン~80万トンと大きな差が出ています。

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また、より長期的に見るとEVや家庭用蓄電池の普及が進むことでリチウム需要が大幅に増えることが期待できます。

Lithium Americas のプレゼンテーション資料では最終的に需要は310万トンと現在の17倍まで伸びるのを予想しています。

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結局のところ、リチウム需給はEVや家庭用蓄電池の普及率次第であるため、現時点では確かなことは誰にもわからないと思います。

想定以上のブームが起きなければ供給過剰になりそうだし、想定以上のブームとなれば供給が追い付かないということもあり得そうです。