割高なCAPEレシオをめぐる議論

CAPEレシオが歴史的に見ても割高な水準に上がっています。弱気派からはこのバリュエーションの高さに警告を鳴らす記事を見かけます。

しかし、CAPEレシオの有効性には否定的な意見もあり、この指標が短期的には役に立たないことや、90年代以降のアメリカでは常に平均以上の数字で推移しておりマーケットタイミングとして機能していないことが指摘されています。

CAPEレシオがなぜずっと割高なままなのかというのは難しい問題ですが、最近これについて説明している説得力のある記事を2つ読んだので紹介します。

 

Swedroe: Wait & You’ll Likely Miss Out ではCAPEレシオが切りあがった理由をいろいろと挙げています。その中でも具体的な数字があるのが会計手法の変更と金融危機の影響です。

・2001年の会計変更によってのれんや無形資産の償却が必要なくなったことがCAPEレシオを4ポイント押し上げている。

・CAPE10には08~09年の金融危機の数字が含まれている。CAPE10は30倍という数字だが、金融危機が含まれないCAPE8で計算すると27倍になる。

 

もうひとつの記事はマクロ経済からの説明です。

Why Are Stock Market Prices So High? によると、企業の利益率、インフレ率、GDP成長率のボラティリティの3つの指標によってCAPEの数字をよく説明できるそうです(相関係数0.81)。

さらにリセッションのオンオフと10年国債金利を加えることでモデルとの相関が0.9にまで上がるとのことです。

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記事によると、上にあげた要因の中でも企業の利益率とインフレ率が最も重要となります。

利益率については平均回帰する性質があるにもかかわらず投資家は常に高い数値を好むそうです。利益率が高くなるのは好景気のときなので、景気が良く企業業績が好調であるほどCAPEレシオも高くなるということでしょう。

インフレは低すぎない限りは安定的で低い方が良いそうです。このCAPEレシオとインフレ率の関係についてはその他の場所でも解説されているのを見ます。

たとえば Mebane Faber の Global Value : Building Trading Models with the 10 year cape にはCAPEレシオとインフレ率のグラフが掲載されています。

それによるとインフレが1~4%のときが "comfort zone" で、高インフレやデフレの期間に比べてバリュエーションが高くなるそうです。

この理由については説明がありませんが、おそらくインフレが低位安定しいる時期はマクロの経済環境が安定していることが多いからだと思います。

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さて、投資家が知りたいのは今後のCAPEレシオがどうなるかという点です。

会計面や金融危機の影響からの説明は納得できる話ではありますが、現在の数字はそれを考慮しても過去の平均よりも割高です。

そうなると現在の高バリュエーションは企業の利益率やインフレ率といったマクロ経済の好調さによって説明されるのかなと思います。

このマクロ経済の好調というのは永続的な話ではないので、インフレが進んだり、企業の利益率が平均回帰して下がればCAPEレシオも下がることを意味します。

企業業績が平均回帰する傾向があることを踏まえると現在のバリュエーションは潜在的に割高感があり、景気が変調することでその影響が表に出てくるのではないかと思いました。