03993(香港) 洛陽モリブデン

中国のモリブデン最大手です。他にタングステン、銅、コバルト、金などの生産を手掛けています。

 

2016年にフリーポートマクモランよりコンゴ民主共和国の銅・コバルト鉱山テンケ・フングルーメ(Tenke Fungurume)を取得というビッグニュースが出ました。これにより銅生産は大幅に増加し、コバルト生産は世界第二位となります。

 

会社の発表では、2017年のテンケの生産量は銅219千トン、コバルト18千トンとのことです。

ちなみに2016年の世界の銅需要は22.45百万トンでトップのコデルコの生産量が1.8百万トン、世界のコバルトの需要は100.1千トンでトップのグレンコアの生産量が28.3千トンとのことです(各社のアニュアルレポートより)。

 

コバルトはリチウムイオンバッテリーの正極材に使われる金属で、EVの普及に伴い需要増加が予想されています。

コバルトの特徴はこんな感じです。

・ほとんどのコバルトは銅やニッケルの副産物として生産される。

・世界の生産量の6割をコンゴが占める。紛争が多発する地域であり政治リスクがある。

・バッテリー用途はコバルト消費の約半分を占める。

 

コバルト価格はここ数年低迷していましたが2016年末から急騰しています。

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過去5年の会社の業績です。(単位:100万RMB)

  2012年 2013年 2014年 2015年 2016年
売上高 7,021 7,648 6,662 4,197 6,950
税前利益 248 901 2,148 683 1,190
純利益 161 48 1,824 761 998

 

2016年の製品別の売上と利益はこちらです。テンケの買収完了は昨年11月のため今期の売上・利益は大幅に増えるはずです。

  売上 コスト 利益
モリブデン・タングステン関連 2,816 1,512 1,304
銅・金関連 1,381 1,014 368
ニオブ関連 411 307 104
リン関連 730 585 145
銅・金関連(コンゴ) 1,296 996 300
その他 164 91 73

 

会社発表の2017年のテンケの見通しは、銅生産219,000トン、コバルト生産18,000トン、C1コスト0.98~1.09ドル/ポンドです。

銅価格を2016年の平均価格である5,504ドル/トン、C1コストを1.09ドル/ポンド(2,403ドル/トン)として計算すると、C1コスト控除後の利益は679百万ドル(4,665百万RMB)となります。

2016年の営業利益が751百万RMBなのでテンケ買収のインパクトは非常に大きいです。

 

なお、この会社の筆頭株主は国有企業(state-owned legal person)の洛陽礦業集團有限公司で31.56%を所有しています。

第2位の鴻商產業控股集團有限公司は私営の投資会社、3位の香港中央結算(代理人)有限公司はunkownとの記載です。4位以下の株主の所有割合は低いです。

 

感想

前年のEPSは0.06元です。株価は2.55香港ドルなので実績PERは42倍くらいになります。

ただ、今期はテンケの業績が加わるので大幅増収増益が期待できます。

 

上でも少し書きましたが、コバルトは銅やニッケルの副産物として採掘されるため専業の会社は少ないです。

洛陽モリブデンは専業ではないもののコバルトの比率は比較的大きいですし、中国株として各社で取り扱いがあるので簡単に買えるEV関連銘柄として良いと思いました。