EVの普及に伴い重要性が増すリチウムを生産している会社についてです。
現在ビッグ3とされているのは、アルベマール、SQM、FMCの3社で、これに中国の天斉リ業やガンフォンリチウムを加えたのが主要なリチウム生産会社になります。
このほか新興企業では、オロコブレやギャラクシー・リソースズがすでに生産を開始しています。
リチウムの生産地
2015年9月の資料ですが、リチウムのマテリアルフローというレポートに主なリチウム生産地が掲載されていました。
リチウムの生産地は南米とオーストラリアが多いです。南米はかん水からの生産、オーストラリアは鉱物からの生産です。
一般には、かん水からの生産はコストが低いものの開発に資金と時間がかかる一方で、鉱物からの生産はコストが高いものの短期間で開発可能とされています。
アルベマールのプレゼンテーション資料にも主な生産地の資源量とグレードの表があったので貼っておきます。
かん水系では、ボリビアのウユニ湖が最大の埋蔵量を誇りますがいまだ開発途上です。
アルベマールとSQMが生産しているアタカマ湖はウユニ湖を除くと最大の規模です。
同じくアルベマールのアントフォーラ湖、FMC のオンブレ・ムエルト湖、2015年に生産を開始したオロコブレのオラロス湖も規模が大きいです。
鉱石系では、天斉とアルベマールのグリーンブッシュ鉱山が大規模です。
他に生産を開始しているのは、ギャラクシーのマウント・キャトリンや、ミネラルリソースズ他のマウント・マリオンです。ピルバラやアルトラのピルガングーラも生産間近です。
大手3社の業績
アルベマール、SQM、FCM の業績を見てみます。
Albemarle (NYSE:ALB)
アメリカの化学会社です。
2014年にロックウッドを買収したことでリチウムのトップメーカーになりました。アタカマ湖やグリーンブッシュ鉱山で生産を行っています。
2017年のリチウム生産量は89ktLCE(炭酸リチウム換算)で、2021年に165ktLCEまで増やす計画です。
2016年の売上、営業利益、調整EBITDAは以下のとおりです。売上・EBITDAともにリチウムは最大のセグメントです。
(単位はドル)
売上 2,677M (うちリチウム968M)
営業利益 574M
調整EBITDA 758M (うちリチウム363M)
実績EPS 5.68ドル (うちContinuing operationsは3.90ドル)
予想EPS 4.18ドル (YahooFinanceより)
株価 104.25ドル
時価総額 11.97B
実績PER 18.35倍
予想PER 24.9倍
Sociedad Quimica y Minera S.A. (NYSE:SQM)
チリの肥料メーカーです。
チリのアタカマ湖でリチウム生産を行っています。生産量は50.4ktLCEです。
2016年の売上は以下のとおりです。リチウムセグメントは粗利益(Gross Profit)の55%を占めています。
(単位はドル)
売上 1,939M (うちリチウム514M)
税前利益 414M
実績EPS 1.06ドル
予想EPS 1.48ドル (YahooFinanceより)
株価 33.19ドル
時価総額 8.98B
実績PER 31.3倍
予想PER 22.4倍
FMC (NYSE:FMC)
アメリカの化学会社です。
2016年の売上と調整EBITDAは以下のとおりで、リチウムセグメントは上の2社よりもかなり小さいです。
(単位はドル)
売上 3,282M (うちリチウム264M)
営業利益 421M
セグメント合計利益 661M (うちリチウム70M)
実績EPS 1.56ドル (うちContinuing operations 1.81ドル)
予想EPS 3.39ドル
株価 59.6ドル
時価総額 8.0B
実績PER 38.2倍
予想PER 17.5倍
大手3社はいずれもSBI証券やマネックス証券で取り扱いがありますが、リチウム専業ではありません。
リチウム専業の新興企業はオーストラリアやカナダ上場になります。こちらに記事を書きました。