伊藤園の普通株と優先株の乖離が大きくなっています。現在は普通株の3,440円に対して優先株は1,967円と42%も割安です。
普通株と優先株の違いですが、細かい条件を除くと議決権がなく配当は25%高くなるという感じです。優先株の株主も株主優待はもらえます。
議決権にどれだけの価値があるのかはわかりませんが、両者の価値がそれほど変わるとは思えません。配当が大きいのでむしろ優先株の方が高くてもいいくらいだと思います。
伊藤園のHPより普通株と優先株の違い
普通株と優先株の乖離の大きさを見ると、両者の差がなくなることを前提にした優先株買い-普通株売りというアイデアを思いつきます。
この取引のリスクとしては下のようなものが思い浮かびます。
・両者の差が乖離したままというリスク。普通株と優先株の差が大きいのはおかしいと思いますが、かといって両者が同じ株価に収斂すべきという絶対的な理由はありません。
・スプレッドが縮小するのに時間がかかるリスク。2009年に大きなかい離ができたときには、差がなくなるまでに2年以上かかっています。年利換算したときに割に合わなくなる可能性もあります。
・コスト。空売りには費用がかかります。SBIの場合、制度信用取引の金利が1.15%、管理費が1か月あたり1株5銭(建玉毎に対する1ヶ月の上限は1,080円、下限は108円)、逆日歩があります。金利と管理費はそれほど大きくないですが、逆日歩が大きくなると厳しくなりそうです。
2019年1月追記
この記事を書いてから2年半以上が経過していますが、依然として両者のスプレッドは縮まらないどころかやや拡大しています。現在は普通株4,780円に対して優先株2,379円と50%割安です。
会社は2017年以降に優先株の自社株買いを行ってはいますが、1年あたり発行済株式の1~2%程度でインパクトは限定的なようです。
日付 | 種類 | 発表株式数 | 上限金額 | 発行済株式数 に対する割合 |
取得株式数 |
---|---|---|---|---|---|
2017年1月26日 | 優先株 | 350,000 | 7億円 | 1.03% | 341,500 |
2018年1月26日 | 優先株 | 450,000 | 10億円 | 1.33% | 369,600 |
2018年6月1日 | 普通株 | 220,000 | 10億円 | 0.25% | 196,800 |
2018年6月1日 | 優先株 | 215,000 | 5億円 | 0.64% | 144,400 |
2018年12月3日 | 優先株 | 400,000 | 10億円 | 1.20% | 203,600 |
この普通株-優先株のペアトレードは理屈としては良いと思うのですが、2015年以降は4年に渡りまったくうまくいっていません。難しいですね。
なお、伊藤園の今期PERは43倍と非常に割高に評価されています。
経常利益はここ10年のあいだ100億円~200億円程度のレンジで推移しており成長力は低いです。利益が落ち込む年もありますし、今期も中間予想は未達です。
にもかからず株価は2012年の終わりから右肩上がりで、押し目があってもしばらくすると回復しています。なぜこんなに高い評価なのか正直謎です。