中国ネット株の決算①

ウォッチしている中国ネット系銘柄の決算がぼちぼちでてきたので簡単にチェックしていく。

 

・BABA アリババ

3Qは前年比で売上高+38%の増収、営業利益+48%の増益だった。この規模で4割も成長しているのはすごい。

セグメント別の営業利益の四半期推移をグラフにしてみた。

利益を出しているのはコアコマースのみで、その他3部門は赤字が継続している。ただ、クラウドコンピューティングはいずれ利益貢献してくると思われる。この部門の売上高の伸びはゆるやかな右下がりだが依然として60%を超えている。

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アリババのバリュエーションはやや分かりにくい。赤字事業があるし投資関連の利益もある。

過去4四半期の営業利益は930億RMB、コアコマースのみの営業利益は1,400億RMB、税前利益は1,937億RMB、営業外利益1,007億RMBのうちアントファイナンシャル関連の特別利益が692億RMBとなっている。

過去4四半期のEPSは9.1ドル(1RMB=0.14ドル)なので実績PERは21.6倍だが、純利益からアントファイナンシャルの692億RMBを引いて計算すると実績PERは36倍になる。

また、営業利益にコアコマースの利益を使って(赤字事業を除く)アントファイナンシャルの特別利益を除いて税率25%で計算すると実績PERは29倍となる。

ざっくりした計算だがすごく割安でも割高でもないかなという感じを受ける。売上高の成長率の高さとクラウド事業の今後の貢献を考えると悪くない水準だと思う。

 

・BIDU バイドゥ

4Qは前年比で売上高+6%の増収、営業利益4倍以上となった。営業利益は2019年1Qに赤字となって以来3四半期連続で改善している。4Qの営業利益46億RMBはピークの水準に近い。

セグメント別の売上高は、オンラインマーケティングが-2%の減収、その他が+35%の増収だった。その他はクラウドサービス、スマートデバイス、iQiyiメンバーシップなど。

会社別ではバイドゥコアは売上高+6%の増収、営業利益+55%の増益。バイドゥアプリのDAUsは1.95億人で前年比+21%増加となった。

iQiyiは売上高+7%の増収、営業利益-25億RMBの赤字(前年-33億RMB)。赤字は縮小したものの高水準。iQiyiは動画サイトでトップを争っているが売上高の伸びは頭打ちになってきている。

バイドゥコアとiQiyiの営業利益の推移はこんな感じ。

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2020年1Qのガイダンスは-5~13%の減収、バイドゥコアは-10~18%の減収。

コスト削減は効果を出しており、1Qのコストも横ばいで前年より15%少ない水準を維持できるとのこと。

バイドゥの時価総額は368億ドルだがネットキャッシュが287億ドルある。現在の業績が続くなら、iQiyiの赤字を除いてEPSは8~9ドルくらい出そう。

バイドゥはどう見ても割安なのだが、検索の伸びが止まっているのと新規で稼げる事業が出ていないのが問題だと思う。スーパーアプリ化で成果を上げるか、自動運転が収益に貢献するといった材料があれば株価は上がると思う。

 

・WB ウェイボー

4Qは前年比で売上高-3%の減収、営業利益-18%の減益だった。

広告の売上高は-3%の減収。内訳はKAとSMEsが-5%、アリババが+20%だった。アリババはここしばらく減少していたが久々に増加している。

バリューアドサービスは-4%の減収。

2020年1Qは売上高-15%~20%の減益というガイダンス。

ウェイボーはつい2年前まで売上高が7割も伸びていたのにあっという間にマイナスになってしまった。中国経済のスローダウンとショートムービーの隆盛が原因のようだがかなり厳しい。中国市場は競争が厳しく難しいなと感じる。

救いはMAUとDAUが依然として伸びているところ。MAUは前年比+12%、DAUは+11%。景気が回復して広告市場が復活すれば成長軌道に戻るのではという希望はある。

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もうひとつの期待は昨年12月にサービスが開始された中国版インスタのOasis。立ち上がりは好調で1月は1,000万人のMAUだったとのこと。ただし、直近ではコロナウィルスの影響でスローダウンしているそうだ(家籠りではインスタする機会がない)。

ウェイボーのネットキャッシュは20億ドル程度(時価総額90億ドル)。

現在の業績が横ばいであればEPSは2ドルあるかといったところだと思う。株価は40ドルなのでPERは20倍程度となる。成長率ゼロでは割安感がない。

 

・JD JD.com

好調な決算だった。

4Qの売上高は前年比+27%の伸び率。プロダクトが+25%、サービスが+44%。成長率は2019年1Qを底に再加速している。

2020年1Qも2桁の売上高の伸び率を見込むとのこと。

営業利益は四半期比では大きく減ったものの黒字を維持している。

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年間アクティブアカウントは前年比+19%と大幅に増えた。こちらも2019年2Qを底に再加速している。地方都市への拡大が好調の理由だそうだ。

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JDは傘下のJD Logisticsの評価が高いうえ、JD Healthもユニコーンとなったそうだ。

2019年の売上高807億ドルに対して時価総額は582億ドル。実績PSRは0.72倍となる。

過去のカンファレンスコールによると、JDリテイルは長期的に純利益率1ケタ台後半を目指すとの話があった。売上高が2桁成長しつつ利益率が上がってくれば割安になると思う。

 

9517 イーレックス 2020年3月期3Q決算

新電力の老舗。電力小売りと卸売り、バイオマス発電を行っている会社。

 

3Qは前年比で売上高+38%の増収、経常利益+167%の増益という好決算だった。

3Q単体では売上高+43%の増収、経常利益+60%の増益となる。

3Q時点での経常利益の進捗率は95%に達しておりかなりの確率で上方修正が見込めると思う。

 

この会社の売上高は大きく伸びているのだが、詳細が開示されていないため内容が分かりにくい。

電力小売に限ると4Qは高圧小売が前年比-7.7%の減少、低圧小売が前年比+10%の増加しかない。低圧小売の件数や販売電力量は伸びてはいるものの計画を下回っているし、時系列で見た供給件数の伸びも鈍化しており頭打ち感が漂う。

 

経常利益は四半期で見ると凸凹がある。基本的には電力消費量の多い夏と冬に業績貢献が高くなるのだと思う。売上高は比較的そういった傾向を見せている。ただ、経常利益に関しては必ずしもそうなっておらず傾向が把握しにくい。3QはJEPXの価格が低かったので期待していたのだがそれほど業績は伸びなかった。

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発電部門では今年1月に豊前と大船渡の新発電所が稼動した。

両施設の発電出力は7.5万kWと大きく、これまでの既存の発電所2カ所の合計7万kWから3倍以上に増加する(ただし出資比率で見ると13万kWと2倍程度)。出資比率65%の豊前は全量外部へ販売、出資比率35%の大船渡は全量erexへ販売とのこと。

両施設の業績への貢献だが、以前出した下方修正時の資料によれば4施設稼働で年間30億円以上の純利益への貢献、6施設稼働(沖縄と坂出)で年間50~70億円の純利益への貢献とある。

参考までに同業他社の業績を見ると、

・エフオンは4施設・発電出力5.5kW(壬生の稼動が半年なので半分で計算)で売上高123億円・経常利益28億円の業績予想。

・レノバの秋田バイオマスは発電出力2.05万kWで売上高48.3億円・経常利益11億円。

・レノバの苅田バイオマスは発電出力7.5万kWで想定売上高130億円。

時期的に近いレノバの苅田バイオマスを参考にすると、2施設の売上高は260億円、営業利益率20%少々として50億円超、純利益35億円、これの持ち分50%で純利益17.5億円程度の上積みになる。

イーレックスの今期予想は純利益38億円、来期予想は純利益49億円なのでだいたい計算と近い(両施設は今年4Qから貢献)。

 

現在の株価は1,231円なので予想PERは16倍になる。

中期経営計画通りであれば来期のEPSは100円近くとなり予想PERは12倍弱。

成長率からすると悪くないが、この会社の業績はブレがあるうえ内容が分かりにくいので安心して持てない。株価も決算のたびに上下に大きく動く。事業内容の分かりやすい発電事業に集中しており、情報開示も充実しているレノバと比べると評価が低いのも納得できる。

 

SQM ソシエダード・キミカ・イ・ミネラ・デ・チリ 2019年4Q決算

特殊肥料やリチウムなどを生産しているチリの化学メーカー。

リチウムではアルベマールと並ぶ最大手の一角で、チリのアタカマ湖からリチウム化合物を生産している。

 

4Qの業績は前年比で売上高-16%、調整EBITDA-27%の減益、純利益-38%の減益となった。

リチウムセグメントの売上高は-31%の減収で、全体に占める比率は売上高の21%・粗利益の36%まで低下している。

 

四半期のセグメント売上高をグラフにしてみる。ややわかりにくいが2018年をピークにリチウムセグメントは縮小している。

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セグメント利益のグラフ(2019年3Qまでの開示しか出ていない)。

こちらは売上高と比べてリチウムセグメントの減少がはっきりわかる。

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四半期の販売数量と売上高から逆算した平均販売価格をグラフにした。

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2019年の販売数量は45Ktで計画の47Ktを下回った。需要の低下が予想以上だったとのこと。

SQMの販売数量は長期で見てもあまり伸びていない。会社は積極的な拡張プランを発表しているもののかん水からの増産が難しいのが分かる。

平均販売価格は2018年の16,000ドル超をピークにして直近は9,000ドル付近まで下落している。SQMの販売価格は四半期ごとに見直す方針なのでアルベマールと違い需給に合わせて上下することになる。

 

2019年のEPSは1.1ドルで前年の1.67ドルから大きく減少した。現在の株価は27.3ドルなので実績PERは25倍程度となる。

 

2020年のリチウム販売量は55~60ktで前年比+20%の増加を見込んでいる。ただ、コロナウイルスの影響で直近の中国での販売は計画を下回っているそうだ。中国の販売比率は昨年が30%、今年は40%になる見込み。

2020年の生産量は65~75ktになるとのこと。現在の生産キャパシティは年間70Ktへの拡張が完了している。来年には120Ktへの拡張が完了する予定。ただし、過去の販売数量を見ても分かるようにかん水からのリチウムの増産は難しい。会社の言うように急激に生産量を増やせるのか疑問視する声も多い。

なお、Wesfarmers とオーストラリアで開発中の Mt Holland は投資判断を延期している。

 

LTHM ライベント 2019年4Q決算

FMCのリチウム部門のスピンオフにより誕生した会社。

かつてのビッグ3の一角だが、現在はSQM、アルベマール、ティエンチ、ガンフォンの4社と比べると規模が小さい。

アルゼンチンのオンブレ・ムエルト湖からリチウム化合物を生産しており、炭酸リチウムの生産コストは世界最低クラスとなる。戦略的にハイエンドの水酸化リチウムに注力している。

 

4Qは前年比で売上高-35%の減収、営業利益-83%の減益、調整EBITDA-65%の減益となった。

四半期の業績推移は下のグラフのとおり。リチウム価格の下落を受けてここ1年で大幅に悪化している。

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2019年のリチウム化合物の販売は炭酸リチウム換算で21Ktだった。前年比では横ばい程度。

価格は炭酸リチウム・水酸化リチウムともに下落したが、炭酸リチウムの下落幅は20%以上となり水酸化リチウムよりも大きかったそうだ。

 

リチウム市場についての見解はこんな感じ。

・2019年のリチウム需要は+15%以上伸びて300KtLCEを超えた。水酸化リチウムは+35%以上で電池用途に限れば+75%くらいの伸び率。

・リチウム需要は伸びたが供給の増加により価格は下落した。供給はオーストラリアのスポジュメン精鉱と中国のコンバーターキャパシティの増加が原因。

・中国のコンバーターは垂直統合されていない割合が大きく、これが過剰供給、スポジュメンの在庫レベルの増加、低い稼働率、価格低下圧力を引き起こしている。

・いまのリチウム価格は持続不可能なレベル。しかし短期的には供給過剰の影響が残る。

・将来の需要増加に備えて投資が必要な時期だが投資が干上がっている。最近数か月だけで今後3年間300ktもの量の将来の供給プランが中止・延期となった。この影響は2020年後半から2021年に出てくるだろう。

 

2020年のガイダンスは売上高-3%~+9%のレンジ予想。EPSは0.18~0.31ドルで2019年の0.34ドルからさらに低下を見込んでいる。現在の株価8.61ドルに対する予想PERは28~48倍となる。なおEPSのピークは2018年の0.99ドルなので、業績が回復するのであれば割高とはいえない。

販売数量は26.5~28.5ktで2019年比で約30%の増加となる。炭酸リチウムは数千トンを超えることはなく、ブチルリチウムや高純度メタルなどの特殊化合物は前年並みとのこと。販売量が生産量を上回ることになるが積み上げた在庫によって達成するそうだ。

平均価格は10%半ばくらいの下落を見込んでいる。水酸化リチウムの販売価格は10%半ば、炭酸リチウムはそれ以上の下落。

数量は増加するものの、販売価格の下落とサードパーティーからの炭酸リチウムの購入によるマージンの低下が逆風となる。

また、アルゼンチンの炭酸リチウムの拡張計画は半年遅れるとのこと。フェーズ1の生産開始が2021年半ば、フェーズ2が2022年の下半期になる。それぞれ9.5Ktずつの拡張で両者が完了すればキャパシティは倍増する。

 

ライベントは下方修正を連発しておりそのたびに株価が暴落している。しかし株価は昨年半ばの6ドル割れを底に現在の8.6ドルまで切り上げている。投資家はリチウム市場の底打ちを期待しているように見える。

この会社はリチウムのピュアプレイヤーであり、かつバッテリーグレードの比率が高いことからEVによるリチウム需要の増加の恩恵をダイレクトに受ける。アルベマールやSQMに比べると業績の変動は大きいものの、市場が好転したときのインパクトも大きくなる。

 

ALB アルベマール 2019年4Q決算

特殊化学品メーカー。リチウム、臭素、触媒などを作っている。

リチウムでは最大手の一角。チリのアタカマ湖とオーストラリアのグリーンブッシュ鉱山(持分49%)からリチウム化合物を生産している。アタカマ湖とグリーンブッシュ鉱山はかん水系と鉱石系でベストの資産となる。

 

4Qは前年比で売上高+8%の増収、営業利益-20%の減益、調整EBITDA+11%の増益となった。

リチウムセグメントは前年比で売上高+20%の増収(価格-5%、数量+27%)、営業利益-74%の減益、調整EBITDA-3%の減益だった。

2019年のリチウム価格が28~30%下落した一方でアルベマールの平均販売価格は横ばいにとどまったそうだ(カスタマーミックスで売上にはマイナスの影響)。長期契約による販売を主体にしていることで業績への悪影響が抑えられている。

 

年ベースのセグメント売上高をグラフにした。リチウムが右肩上がりに伸びて最大のセグメントになっていることが分かる。

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セグメント別の調整EBITDAの推移。

リチウムは頭打ちだがSQMやライベントが大幅減益になったのに比べると底堅い。ただしEBITDAマージンは前年の43%から39%に落ちている。

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リチウムの生産施設の状況は以下の通り。

・中国の xinyuⅡはフル稼働。

・チリの La Negra Ⅲ&Ⅳはスケジュール通り2021年1Qに生産開始。

・オーストラリアの Kemerton は2021年下半期に生産開始予定。

・グリーンブッシュズのフェーズ2拡張は4Qに完了。年間キャパシティはLCEベースで約160Ktのスポジュメン精鉱。

・Wodgina は生産停止中。最終的には100Ktのバッテリーグレードの水酸化リチウムの原料となる予定。

・現状では利用可能なリソースの25%しか使用していない。

 

2020年のリチウム販売数量は3%の増加になるとのこと。EVの生産台数が2019年の260万台から2020年は350~400万台に増加することでリチウム需要も50Kt増加することを予想している。

価格は積みあがった在庫と供給増加により下落圧力が続く。アルベマールも顧客と1年限りの価格譲歩を行うことに合意したため、2020年の販売価格は10%半ばの価格低下になる見通し(2021年からは通常の契約に戻る)。

2020年の調整EBITDAは880~930百万ドルとのガイダンス。2019年の1,036百万ドルから減益となる。なお、上半期の調整EBITDAは-15~20%の減益、1Qは-20~25%の減益予想なので、会社は1Qが底だと考えているようだ。

調整EPSは4.8~5.1ドルの予想。現在の株価は82.6ドルなので予想PERは16~17倍程度となる。

中期計画によると2024年にかけて売上高が年間6~9%、調整EBITDAが年間8~12%の成長を見込んでいる。

 

アルベマールの業績はSQMやライベントに比べると安定している。リチウム以外のセグメントが全体の半分程度を占めていることやリチウムの販売で長期契約をメインにしていることが大きい。他社に比べると堅い銘柄だと思う。ただ、長期契約メインなだけに価格の上昇が起きたときの業績の伸びは他社より低くなりそう。

 

6175 ネットマーケティング 2020年6月期2Q決算

マッチングアプリのOmiaiとアフィリエイトに特化したネット広告代理店。

 

中間決算の経常利益は会社予想を+29%上振れて着地したが、2Q単体の経常利益は1Qから大きく減少している。

売上高の伸びも1Qの前年比+23%から2Qは+14%に減速した。

 

セグメント別の売上高の推移。

広告事業は前年比+20%と好調だが、メディア事業が前年比+9%まで鈍化している。

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セグメント利益の推移。

広告事業は四半期比では大きく減っているものの前年比では+40%と大幅な増益。

一方でメディア事業は先行投資の期間を終えて黒字化したものの伸び悩んでいる。

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Omiaiの有料会員数は前四半期比で減少した。

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新規会員数は直近で前年比+13%の増加。無料会員も含まれるのでこれだけで判断できないが抜群の伸びとは言えない。

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こちらのサイトのデータを使わせてもらい、マッチングアプリ上位5つのAppStore月間セールスランキングの推移をグラフにした。

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右上がりで好調なのが、Pairs、Tinder、with。一方でタップルとOmiaiはほぼ横ばいで推移している。

Omiaiはかつては3位だったが、Tinderに抜かれ、足元ではwithに肉薄されている。withはイグニスの運営で、イグニスのマッチング部門は売上高8.9億円、営業利益2.8億円と高収益を上げている。withと比べるとOmiaiは成長力でも収益力でも大きく劣っている。

会社は今年の2月にタレントののんさんを起用したブランドリニューアルを打ち出した。広告費も積極投入するようなので巻き返しに期待したいが、過去のトレンドを見るかぎりなかなか難しそうに思える。

 

現在の株価は634円で予想PERは16.4倍となる。

来期の営業利益12億円(前年比+47%)という中期計画を実現できるなら割安感があるかもしれない。時価総額93億円にたいしてネットのキャッシュも30億円ある。

ただ、ここしばらくのOmiaiの低迷を見ると過度な期待はできないかなと感じる。

 

3895 ハビックス 2020年3月期3Q決算

紙や不織布という中間素材を作っている会社。紙おむつ、クッキングペーパー、おしぼり、テーブルナプキンなどに使われる。

 

3Q累計では売上高が前年比で減収だったが、経常利益は前年比+33%と大幅な増益になった。経常利益の進捗率は99%で今期業績の上振れが期待できそう。

売上高 98億円(前年比-1%)

経常利益 8.6億円(前年比+33%)

純利益 5.9億円(前年比+33%)

 

3Q単体で見ても2Qに続いて大幅増益だった。

売上高 32億円(前年比-5%)

経常利益 3.4億円(前年比+58%)

純利益 2.3億円(前年比+53%)

 

四半期ごとの経常利益と経常利益率の推移をグラフにした。

経常利益は2019年4Qを底に3四半期連続で回復している。3Qの経常利益率は11%まで改善した。今期の予想経常利益率は6.6%。

ちなみに年度ベースで過去10年の経常利益率の平均は7.5%、最高は2010年3月期の14.5%となっている。

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利益率が改善しているのはパルプや原油の価格が下がっているからだと思われる。

ハビックスが作っているのは、パルプ不織布、化合繊不織布、衛生用紙。HPによるとパルプ不織布と衛生用紙の原料はフレッシュパルプ(化学繊維を混ぜた機能性製品の生産も可能とのこと)、化合繊不織布の原料はポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル等の化学繊維となっている。

パルプは原材料なので当然影響があるだろうし、原油に関してはポリエチレンなどが石油化学製品であること、パルプの製造過程で重油が多量に使われるため影響があると思う(最近はそうでないという記事もあった。記者の目◇王子製紙、原油高騰は怖くない)。

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FREDで見つけた木材パルプの価格。2017年~2018年にかけて高騰したが、2019年に入って大きく値下がりしている。

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原油価格は2018年に急落した後は50~60ドルで推移している。

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現在の株価は799円。予想PERは10.2倍だが、業績が上振れしそうなのでPERの数字もこれより下がりそう。

 

7419 ノジマ 2020年3月期3Q決算

家電量販店、携帯キャリアショップ、インターネット接続のニフティを運営している。

今年の3月にシンガポール上場の家電・IT製品・家具販売会社を子会社化した。

 

3Q決算は堅調。経常利益は前年比+18%増だった。通期の経常利益の予想が+1%なので進捗は良い。

売上高 3,945億円(前年比+5%)

経常利益 191億円(前年比+18%)

純利益 133億円(前年比+35%)

 

増税後の決算だったが、3Q単体でも増益を維持した。

売上高 1,249億円(前年比-5%)

経常利益 60億円(前年比+8%)

純利益 41億円(前年比+64%)

 

セグメント別の四半期の売上高。

デジタル家電専門店運営事業は-9%の減収。増税後で白物家電が低迷したが、windows7のサポート終了に伴う駆け込み需要があったとのこと。

キャリアショップ運営事業は-20%の減収。5四半期連続のマイナス成長でこの部門は縮小が続いている。

インターネット事業は-6%の減収。こちらも3四半期連続のマイナス成長。

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セグメント利益。

売上高が減ったもののデジタル家電専門店運営事業は+11%の増益だった。この部門が増益になったのが堅調な3Q決算の原因だが、好調の理由はよく分からない。決算短信には「当社の強みであるお客様に寄り添ったコンサルティングセールスが、「質」を求めるお客様のニーズに合致し、お客様の生活をより豊かにする商品の比率が向上し、売上総利益が伸長いたしました」とある。

キャリアショップ運営事業は-19%の減益。この事業はブレが大きいので四半期だけ見て判断できないが、売上高が継続的に減っているのでやや不安を感じる。

インターネット事業は+154%の増益と好調だった。ただ、この部門の利益はデジタル家電専門店運営事業の2割に満たない規模なのでインパクトは小さい。

海外事業は0.46億円の赤字。2Qに大きな黒字を計上しているので、3Q累計では3.6億円の黒字となっている。

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現在の株価は2,121円。予想PERは7.8倍となる。

3Qの時点で経常利益の進捗率が90%と高いことから上振れも期待できるかもしれない。

加えてこの会社はのれん償却費が大きく、今期の当期純利益136億円に対してのれん償却前純利益は220億円となっている。これを使うと予想PERは4.9倍と非常に割安になる。

 

TSLA テスラ 2019年4Q決算

3Qに続いて営業利益、純利益、営業キャッシュフロー、フリーキャッシュフローのいずれも黒字となった。

売上高 73.8億ドル(前年比+2%)

営業利益 3.59億ドル(前年比+1%)

純利益 1.05億ドル(前年比-24%)

希薄化EPS 0.56ドル

 

売上高と営業利益の四半期の推移。

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売上高は前年比で微増。納車台数が過去最高を記録したものの、リースの増加や平均販売価格の低下がマイナスとなった。

4Qのオートモーティブ部門の粗利益率は22.5%と堅調だった。2Qに18.9%まで落ち込んだが3Qと4Qは回復している。

営業利益率は3Qの4.1%から4.9%に改善した。

 

納車台数の内訳。

モデル3は112,095台と前年比でも大きく増加している。モデルS・Xも1Qの12,091台を底に19,475台まで回復した。

なお、2019年の販売のほとんどは予約ではない新規の購入者だったそうだ。これを広告を全く使わずに達成したと需要の強さをアピールしている。

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決算資料に各工場の生産キャパシティも掲載されている。

上海工場は10か月で生産にこぎつけた。上海生産のモデル3のマージンはフレモント工場と同レベルを予想しているとのこと。上海でのモデルYの生産は2021年。

フレモント工場ではスケジュールより早くモデルYの生産が始まった。モデルYの航続距離は280マイルから315マイルに改善したそうだ。モデルYの粗利益率はモデル3より高い。

ベルリン工場からの最初の納車は2021年を予定している。

2020年の納車台数50万台を軽々と超えるとのガイダンス。

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決算前後でテスラ株は爆上げしている。現在の時価総額1,172億ドルは自動車メーカーとしてはトヨタに次いで世界2位の水準。

2019年のテスラの売上高は245億ドルなのでPSRは4.7倍になる。モデルYが発売されるとはいえさすがに将来を織り込み過ぎている気がする。

なお2020年1Qはアメリカでの補助金の更なるカット(全廃)があるほか、季節的に弱いこと、上海モデル3とモデルYの立ち上げによるマージン圧迫など逆風となる要素が多い。

 

8699 澤田ホールディングス 2020年3月期3Q決算

モンゴルのハーン銀行を主力とする会社。

3Qは売上高・経常利益ともに前年比+10%程度の成長率となった。

売上高 456億円(前年比+10%)

経常利益 91億円(前年比+11%)

純利益 61億円(前年比+34%)

 

3Q単体で見ると大幅増益。2Qから3Qで為替差損が大きく減っている。

売上高 155億円(前年比+7%)

経常利益 37億円(前年比+40%)

純利益 16億円(前年比+13%)

 

同時に出たハーン銀行の9~12月の純利益は前年比+40%の増益と好調だった。貸倒引当金控除後純資金運用収益は前年比+25%の増益。この数字は澤田HDの4Qに計上される。

澤田HDの銀行事業のセグメント利益とハーン銀行の純利益の比較したのが下のグラフ。為替レートを調整していないため乖離があるがおおむね連動している。澤田HDの4Qも堅調な決算が期待できそう。

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モンゴルの1~9月の実質GDP成長率は前年同期比+6.3%と堅調な伸びを維持している。

好調に思えるのだが、このレポートによるとモンゴルの銀行の不良債権比率は不良債権引当金率を上回っており、IMFの勧告に従うなら不良債権の切り離しや資金注入が必要になるとのこと。

澤田HDの決算短信には以下の記述もありやや不安を感じる。「モンゴルの銀行業界につきましては、金融セクターの融資残高は前年同期比で11.1%増加しました。また、延滞債権は0.6%減少、不良債権は45.1%増加となりました。」

 

決算後に株価はやや上げた。ただ、実績PERは6倍弱と低く、今期も成長が続けば予想PERは5倍台になりそう。数字的にはかなり割安感がある。