8699 澤田ホールディングス 2020年3月期2Q決算

モンゴルのハーン銀行を主力とする会社。

中間決算は売上高が2桁伸びて営業利益も増益だった。ただ、為替差損のため経常利益は減益になっている。

売上高 301億円(前年比+11.7%)

営業利益 51億円(前年比+4.9%)

経常利益 54億円(前年比-3.7%)

純利益 45億円(前年比+44.1%)

 

同時に出たハーン銀行の1~9月の純利益は+4%の増益にとどまっているが、貸倒引当金控除後純資金運用収益は前年比で+12%の増加、融資残高は+17%の増加、預金残高は+22%と堅調に伸びている。

7~9月(澤田の3Qに計上される)に限れば純利益は前年比+19%の増益だった。

 

モンゴルの2Qの実質GDP成長率は7.3%と堅調な伸びを維持している。

ただし、このレポートによるとモンゴルの銀行の不良債権比率は不良債権引当金率を上回っており、IMFの勧告に従うなら不良債権の切り離しや資金注入が必要になるとのこと。

 

澤田HDの実績PERは6.1倍と低いが、フロンティア市場を主力としているだけにリスクは高そう。

 

7419 ノジマ 2020年3月期2Q決算

家電量販店、携帯キャリアショップ、インターネット接続のニフティを運営している。

今年の3月にシンガポール上場の家電・IT製品・家具販売会社を子会社化した。

 

中間決算は好調だった。経常利益は期首予想を15%上振れて着地した。

売上高 2,696億円(前年比+10%)

経常利益 130億円(前年比+23%)

EBITDA 206億円(前年比+24%)

純利益 92億円(前年比+25%)

 

2Q単体も好調。ただし、業績上振れの理由として増税前の駆け込みを挙げているので下半期はやや不安があるかもしれない。

売上高 1,399億円(前年比+8%)

経常利益 89億円(前年比+27%)

純利益 63億円(前年比+38%)

 

セグメント別の四半期の売上高。

デジタル家電専門店運営事業はゆるやかに成長している。

キャリアショップ運営事業は4四半期連続でマイナス成長となった。

インターネット事業も2四半期連続のマイナス成長。

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セグメント利益。

デジタル家電専門店運営事業はブレはあるがおおむね堅調に推移している。中間決算は+25%の増益だった。

キャリアショップ運営事業はブレが大きい。中間決算は-8%の減収だが+4%の増益を確保した。

インターネット事業は買収直後に2四半期連続で赤字を計上したもののその後は黒字を維持している。中間決算は-5%の減収、+25%の増益だった。

海外事業は1Qが0.35億円の赤字、2Qは4.4億円の黒字となっている。

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ノジマの最近のニュースとしてスルガ銀行の株式購入がある。10月に株式を買い増して議決権18.52%の筆頭株主になっている。

日経新聞によると追加の株式取得も視野に入れているとのこと。

ノジマ「スルガ銀へ追加出資も」金融×小売りの融合模索 収益源広げる買収巧者

家電量販店が銀行の株式を取得してどうするのかという気はするが、「クレジットカードなど個人向け金融と小売りを融合したビジネスモデルを模索する」との話。

記事にも書かれているようにノジマは買収によって業績を拡大させてきた。ITX(携帯キャリアショップ)もニフティ(コンシューマー向け事業)も買収後の売上高の成長はないが利益は安定して出している。

 

スルガ銀行についてはいくつか記事を読んだがポジティブな意見もネガティブな意見もあった。

ポジティブな意見としては、本業の収益力が高い、シェアハウスローンについては引当金を十分に積んでいるというものがある。ネガティブな意見としては預金の流出が激しい、一棟収益ローンやワンルームローンの遅滞率の悪化といったものがある。

預金の流出に関しては四半期ごとに見ると減少ペースはゆるやかになってはいる。

一棟収益ローンとワンルームローンについては遅滞率の悪化が続くと厳しくなりそう。一棟収益ローンの残高は1兆2,095億円、ワンルームローンの残高は2,200億円とシェアハウスローンの残高2,005億円に対して大きい。遅滞率は2018年9月に一棟収益ローン0.5%、ワンルームローン0.3%だったのが、直近でそれぞれ1.85%と1.03%に悪化している。一方で貸倒引当金の残高2,040億円のうち投資用不動産(ワンルームローン、一棟収益ローン、その他有担保ローン)は467億円にとどまる。

 

今回のスルガ銀行の株式取得費用は140億円とのこと。

ノジマの9月末のバランスシートは現預金225億円に対して短期有利子負債200億円、長期有利子負債475億円。今期の予想EBITDA347億円からすると財務的に悪いわけではない。仮にスルガ銀行で失敗したとしてもノジマの経営が傾くようなことはなさそう。

 

決算を受けて株価は10%以上上げたが予想PERは8倍と低い。

さらにこの会社はのれん償却費が大きく、償却前利益を使うと予想PERは5倍と非常に割安になる。

 

5541 大平洋金属

主にステンレス鋼の原料に使われるフェロニッケルを製錬している会社。

ニッケル事業が業績のほとんどすべてを占める。

 

過去の売上高を見ると変動はかなり大きい。

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経常利益もブレが大きい。ピークは560億円。近年は業績が悪く2014年~2018年まで5年連続赤字が続いていた。

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製品販売量は3万トン弱で比較的安定している。

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円建てのニッケル価格(決算説明書のニッケル価格×為替レート)と経常利益率はおおむね連動していそう。

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ニッケル価格は2016年初めを底に切り上がっている。今年は50%も上昇している。

5 Year Nickel Prices - Nickel Price Chart

InvestmentMine

 

ニッケル価格が上昇しているのは、在庫が右下がりに減っていることやインドネシアがニッケル鉱の輸出を禁止したことが原因と思われる。インドネシアは世界最大のニッケル鉱生産国。

なお、大平洋金属は鉱石をフィリピンやニューカレドニアから調達している。

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ニッケルはリチウムイオン電池の正極材にも使われており今後の需要が大きく増えることが見込まれている。ただし、電池向けのニッケル需要は割合としては低く、必要とされるのも高品質のクラス1ニッケルとなる。

 

2020年1Q決算は6.4億円の赤字だった。通期は27億円の黒字の予想。予想PERは19倍になる。

会社の期首の想定はニッケル価格6.21ドル、1ドル109.72円だったが、現在のニッケル価格は7.57ドル、1ドル108.85円と上振れている。トン当たりの円建て価格は181万円となる。

ニッケル価格と経常利益の散布図にして近似曲線を引くと、現状のニッケル価格で経常利益150~200億円近くになる。時価総額521億円なのでこのままニッケル価格の上昇が続けば割安になるのではないかと思う。

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中国経済の先行きについて

低迷が続く中国経済について個人的な考えを書いてみる。

まず現在の景気低迷だがおおむね以下の要因の組み合わせで起きているのかなと思っている。

・構造的な成長率の低下

・循環的な景気減速

・アメリカとの貿易戦争

・民間債務のデレバレッジ

 

・構造的な成長率の低下

経済規模が大きくなるにつれて成長率が落ちるのは自然なので、中国の経済成長率が過去最低を記録したといった話はそれ自体は問題ではないと思う。

下のグラフは中所得国の罠というレポートの中にあった1人当たりGDPと成長率のグラフ。どの国も豊かになるにつれて経済成長率は低下している。中国の実質成長率6%というのは高くはないが低すぎるということもないと思う。

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鉱工業生産や小売売上高も今年1-9月の前年比成長率はそれぞれ5.6%、8.2%と近年で最低の数字を記録した。ただ、こちらも長期で見れば右下がりの延長線上にある。

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TSLA テスラ 2019年3Q決算

3Qは営業利益、純利益、営業キャッシュフロー、フリーキャッシュフロー(営業CF-資本支出)のいずれも黒字化した。

決算後の2日間で株価は30%近くも上げている。

 

3Qの数字は以下のとおり。

売上高 63億ドル(前年比-8%)

営業利益 2.6億ドル(前年比-12%)

純利益 1.4億ドル(前年比-54%)

希薄化EPS 0.78ドル

 

売上高と営業利益の四半期の推移はこんな感じ。

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今四半期は補助金の更なる削減(1台3,750ドル→1,875ドル)があったにもかかわらず過去最高の納車台数を記録した。売上高はモデル3の平均販売価格が下がったことから2Q比で減収となった。

オートモーティブ部門の粗利益率は22.8%。2Qの18.9%から大きく改善した。排出権の収入を除いても20%以上とのこと。

売上高は減ったものの粗利益率の向上と販管費の減少(2Qは1.17億ドルのリストラその他の費用が計上されていた)ことから営業利益は黒字化している。

 

納車台数は9万7千台と2Q比で微増。ただ、3Qはリース販売が大きく増えている。

4Qは補助金の削減がないので販売にはかなり期待できそう。

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営業キャッシュフローは2Qに引き続き黒字。フリーキャッシュフロー(営業キャッシュフローマイナス資本支出)も3.7億ドルの黒字。

ここ2年近く継続的に減少していた資本支出も3Qは増加に転じている。

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ギガファクトリー上海では試験生産が開始している。数か月以内に大量生産できるとの話。予想は難しいものの上海工場での利益率は現状ではフレモント工場と同じくらいと考えているそうだ。

ギガファクトリーヨーロッパは今年末までに場所をアナウンスできるとのこと。

モデルYの発売は2020年夏に前倒しとなった。モデルYの平均販売価格はモデル3よりもやや高く、コストはモデル3とほぼ同じ。

 

決算は非常に好調かつ上海工場の順調な進捗とモデルYの生産開始が前倒しされたのが好印象だった。いつも予定から遅れるテスラにしては珍しい。

ちなみにテスラに批判的な記事をいくつか読んだところ、リース販売台数の増加、スマートサモン(呼び寄せ機能)の売上高が含まれていること、粗利益率の急激な改善といったあたりが疑問視されていた。

 

3558 ロコンド 2020年2月期2Q決算

靴のオンライン販売。送料を含めた返品無料が特徴。

3月に女性向けファッション商品を取り扱うモバコレを完全子会社化、6月に本体に吸収合併している。

 

中間決算は売上高が5割近く伸びたものの経常利益は赤字だった。

商品取扱高(返品後) 90.2億円(前年比+45%)

売上高 41.5億円(前年比+46%)

経常利益 -3.5億円

純利益 -3.5億円

 

2Q単体で見ても赤字。売上高の伸びは前年比+33%に減速している。

商品取扱高(返品後) 42.2億円(前年比+33%)

売上高 19.6億円(前年比+33%)

経常利益 -1.7億円

純利益 -1.6億円

 

四半期の売上高の推移。

2Qの売上高は1Q比でマイナスだが季節性はあるかもしれない。会社が下期編重と言っているように3Qの伸び率が一番高そう。

ただ、売上高25億円のモバコレを買収して(ロコンドの前期の売上高は67億円)前年比33%の増収率なので成長鈍化を感じてしまう。

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経常利益の推移。

昨年からテレビCMによる先行投資を行っており赤字が続いている。今期のテレビCM予算の配分は1Qに50%、2Qと3Qに20%づつ、4Qに10%という話だった。

テレビCM等の費用は1Qの3.6億円から2Qの1.5億円に2.1億円減っているので、他の数字が1Qと同じであれば2Qは黒字化していた。しかし、売上高が減り、粗利益率が悪化し、テレビCM等の広告費を除く販管費率が上がったことで1Qと同レベルの赤字になっている。

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商品取扱高(返品差引後)は伸びてはいるが成長率は鈍化している。

2Qの連結取扱高は前年比+24%、単体取扱高は+26%、EC事業は+27%、プラットフォーム事業は+18%。

1Qに前年比+73%と大きく伸びたプラットフォーム事業も2Qでは失速している。

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決算を受けて株価は-20%以上も下げている。時価総額90億円程度。

今期の予想PSRは1倍割れており、来期の営業利益30億円の計画(下ブレそうだが)からすると割安感はある。ちょっと売られすぎなのではという気はする。

ただ、決算自体は良くない内容だったので強気にもなれない。

 

3186 ネクステージ 2019年11月期3Q決算

中古車販売大手の会社。

3Q決算は引き続き好調だった。決算と同時に通期の経常利益の予想を+7%上方修正した。

売上高 1611億円(前年比+37%)
経常利益 477億円(前年比+65%)
純利益 343億円(前年比+73%)

 

3Q単体で見ても好調。4Qの経常利益は前年比-13%で会社予想を達成できる。

売上高 566億円(前年比+34%)
経常利益 158億円(前年比+54%)
純利益 114億円(前年比+46%)

 

四半期の業績推移。売上高は右肩上がり。

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経常利益は四半期ごとにややバラツキがあるが、ここ3~4年は売上高と同様に好調な伸び率となっている。

経常利益率は直近の3Qが3%。過去10年では2~3%の年が多い。最も良かったのは2011年の3.5%。

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3Qの出店は輸入車専門店1店舗、総合店3店舗、買取専門店6店舗。計画に沿って順調に進んでいる様子。

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ネクステージは店舗の大型化を進めており、中古車販売、車検、車両用品、保険、買取とすべてのサービスを総合的に提供することを目指している。

目標は2030年に総合店、SUVLAND、UNIVERSEの大型店160店舗とのこと。今期末で大型店は40店舗なので拡大余地はまだ大きそう。

 

問題は新規出店の費用が大きく資金調達が必要になってくるところ。

バランスシートにはネットの有利子負債が217億円あるのに対して、今期の予想純利益は41億円、営業キャッシュフローは3年連続でマイナス(大型店舗を作るのに売上債権や棚卸資産が先行する)となっている。

今年の2月には評判の悪いMSワラントによる資金調達をおこなった。

 

現在の株価は1,094円で今期予想PERは20倍程度。成長率の高さと進捗率の良さを考えると割高感はないと思う。ただ、増資の不安がつきまとうところがやや怖い。

 

証券市場の真実-101年間の目撃録

1900~2000年という超長期の世界各国の証券市場を分析した労作。

対象国はアメリカ・日本・イギリスを始めとした先進16カ国、分析対象は株式・債券・短期債・インフレ・為替。

証券市場の真実―101年間の目撃録

証券市場の真実―101年間の目撃録

  • 作者: エルロイ・ディムソン,ポール・マーシュ,マイク・ストーントン,山田香織,小沢光浩,田口智也
  • 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
  • 発売日: 2003/07/01
  • メディア: 単行本
  • 購入: 2人 クリック: 43回
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本書は2部構成となっている。

1部ではデータをもとに各資産の歴史的な値動きを解説している。各資産のリターンとリスク、為替と国際投資、株式の規模効果・割安株戦略・配当の効果、過去のリスクプレミアムと将来の見通しなど。

・長期では株式はすべての国で債券のリターンを上回っており、債券はドイツを除いてすべての国で短期債を上回った。

・株式の実質リターンはすべての国においてプラスであり、平均値5.1%から3ポイント以内に分布している。

・債券の実質リターンの平均値はわずか0.7%だった。高インフレの国ほどリターンが低く、ドイツ、フランス、イタリア、ベルギー、日本の5カ国はマイナスとなった。ただしこれらの国は1950~2000年には最も良い成績を残した。

・ドイツ、フランス、イタリア、ベルギー、日本の5か国は短期債の実質リターンもマイナスとなった。ドイツの短期債は1923年に-100%を記録している。

・実質為替レートは短期的にはかなり変動が高いものの長期的には比較的安定している 。購買力平価が長期的には有効である傾向。

・ほとんどの国の投資家は世界に投資することにより報われた。多くの国の国際投資は10~20%のリスク低減効果を期待できるとの推定。

 

2部では各国と世界の株式・債券・短期債・通貨・インフレ率のデータが掲載されている。ただし10年単位の数字しか載っていない。

 

この本の素晴らしさは何と言っても101年という期間のデータを収集しているところ。超長期で各資産のリターンやリスクはどうなのか、世界大戦前後の非常時に各資産がどうなったのか、アメリカや日本以外の国のリターンはどうなのかという話がデータをもとに解説されているのでとても勉強になる。

一方で問題点は発行が古く2000年までのデータしか掲載されていないところ。しかし、クレディスイスが毎年発行しているグローバルインベストメントイヤーブックで著者らのデータが更新されている。

なおこのイヤーブックでは2009年~2016年にかけて著者らが毎年2本の記事を書いていた。どの記事でも幅広い国を対象に長期のデータを使ってさまざまな検証がされている。市場について真剣に学びたい投資家には必読の内容だと思う。

個人的に良かった記事は、2010年のEconomic growth(経済成長率と株式リターンの短期の相関が調べられている)、2011年のThe quest for yield(配当の有効性)、2012年のThe real value of money(インフレと各種資産価格)、2012年のCurrency matters(為替ヘッジやキャリートレードの効果など)、2013年のMean revertion(バリュエーションとマーケットタイミング)、2014年のThe growth puzzle(長期の経済成長率と株式リターン)2016年のCycling for the good of your wealth(金利サイクルと株式・債券のリターン)。

 

各国株価のトレンドとバリュエーション 2019年9月末

MSCIインデックスを使って9月末の先進国・新興国の株価指数のトレンドとバリュエーションをチェックする。

・株価データはMSCIから配当込みのGROSS指数を、CAPEやPERはStarCapital、為替は日銀より取得した。

・株価チャートは2007年末を100として作成。月足・配当込み・現地通貨ベース。

・円ベースの損益は、各国のMSCI指数のドルベースのリターンを日銀のドル円レート(月末値)で円換算した。データの取得先が違うので多少の誤差が出る。

 

先進国と新興国

第3四半期の株式リターンは先進国が+0.7%、新興国が-4.1%と新興国がやや大きく下落した。円ベースのリターンは先進国+1.1%、新興国-3.7%。

直近1年間のリターンは先進国+2.4%に対して新興国-1.6%と先進国の優勢が続く。円高に振れていることから、円ベースでは先進国-2.4%、新興国-6.2%とマイナスリターンになっている。

バリュエーションは新興国の方が割安感がある。先進国のCAPEレシオは25倍に対して新興国は15倍と低い。PERも先進国の18倍に対して新興国は14倍程度。

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  CAPE PER 配当 3か月損益 円ベース 1年損益 円ベース
全世界 23.3 17.6 2.5% 0.1% 0.6% 1.9% -2.8%
先進国 24.7 18.4 2.4% 0.7% 1.1% 2.4% -2.4%
新興国 15.0 13.8 3.2% -4.1% -3.7% -1.6% -6.2%
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利回りの高いREIT 9月末

JapanREITの利回りランキング上位のうち物件売却益や利益超過分配金を差し引いても利回りの高い銘柄をピックアップする。

これまでは5%以上を目安にしていたが、全体的な値上がりで高利回りの銘柄が少なくなったため今回は4.5%以上を対象にした。

 

下表の予想利回りは会社発表の予想分配金を使った利回り、調整利回りはそこから物件売却益と利益超過分配金を引いた利回り。調整利回りの高い順に並べている。インフラファンドはREITと分けて下に並べた。 

コード 投資法人 決算月 株価 時価総額 予想利回り 調整利回り
2971 エスコンジャパンリート 1/7 121,800 28,914 5.7% 5.7%
3463 いちごホテルリート 1/7 127,900 32,815 6.0% 5.3%
3473 さくら総合リート 6/12 96,700 32,068 5.3% 5.3%
8963 インヴィンシブル 6/12 65,600 403,001 5.2% 5.2%
3451 トーセイ・リート 4/10 134,900 38,688 5.2% 5.2%
3472 大江戸温泉リート 5/11 92,000 21,652 5.1% 5.1%
3468 スターアジア 1/7 116,200 63,060 4.8% 4.8%
3470 マリモ地方創生リート 6/12 124,200 16,543 5.5% 4.7%
3453 ケネディクス商業リート 3/9 272,500 135,759 4.7% 4.7%
3492 タカラレーベン 2/8 117,300 54,159 7.0% 4.6%
8964 フロンティア 6/12 457,500 236,664 4.6% 4.6%
8985 ジャパン・ホテル・リート 6/12 81,700 359,665 4.5% 4.5%
             
9281 タカラレーベン・インフラ 5/11 122,000 17,142 5.7% 5.1%
9284 カナディアン・ソーラー 6/12 113,800 26,333 6.4% 4.9%

 
REITに詳しくないため表面的な数字しか分からないのだが気になった銘柄はこちら。

 

・2971 エスコンジャパンリート投資法人

今年の2月に上場した銘柄。不動産売却益や利益超過分配金を差し引いて5%台後半の利回りを維持しているのはこの銘柄のみ。

 

・3492 タカラレーベン不動産投資法人

エスコンジャパンと並んで最も利回りの高いREITだったが、分配金の上方修正を受けて大幅に値上がりしてしまった。

物件売却や公募増資があるので分かりにくいのだが巡航速度の分配金は3,000円弱になるのかなと思う。利回りは5%弱となる。会社は内部成長のみで3,300円、外部成長を合わせて3,500円を目指すとしている。

 

・8963 インヴィンシブル投資法人

利回り上位のREITは時価総額が1,000億円以下の小型銘柄が多いのだが、この会社は時価総額4,000億円と大きいうえ格付けもA+を取得している。

 

・3470 マリモ地方創生リート

利益超過分配金を除くと4%台の利回りだが毎年安定的に利益超過分配金を出している。土地に比べて建物の比率が大きい地方レジデンス系は減価償却費が大きいため利益超過分配金を出せるという理屈みたい。利益超過分配金を加えると5.5%と高利回りになる。

 

・3453 ケネディクス商業リート

時価総額が1,000億円を超えており格付けA+を取得している。

 

・8964 フロンティア不動産投資法人

格付けAAのREIT。他社が全体的に値上がりしている中でこの銘柄は横ばいで推移しているため、結果として利回り上位の銘柄になってしまった。

 

・9284 カナディアン・ソーラー 

高利回りのREITが少なくなってきたためインフラファンドの魅力が増している。利益超過分配金込みとはいえ6.4%という利回りは魅力的に見える。