ファンダメンタルとテクニカルを使って比較的短期間で大幅に値上がりする「スーパーストック」を見つける投資法を解説しています。
著者は1997年に投資を始めて以降、けた外れのリターンとドローダウンを繰り返してきたそうです。
2003年から2006年までの2年余りで4万5000ドルを684万5000ドルへと増やしたり、80万ドルの口座を1日で15万ドルにしたり、2008年にはコールオプションによってわずか数日で700万ドル(資産の75%)を飛ばしています。
リターンの数字は印象的ですが、取っているリスクもすごそうなので実力はちょっと分かりにくいと感じました。
本書のメインとなるスーパーストックについてはテクニカル8個とファンダメンタル24個の条件が書かれています。
このうち重要度が高そうな「必須の5条件」(主にテクニカル)と「12の基本的なスーパー法則」(主にファンダメンタル)は下のとおりです。
「必須の5条件」
① 強力なベース(狭い値幅で長期にわたって横ばいが続く)をブレイクアウトする
② 30週移動平均線を上方にブレイクアウト
③ 出来高の増加
④ 大きな迎え角
⑤ 株価は15ドル以下
「12の基本的なスーパー法則」 必須ではないが満たすのが多いほど良い
① 利益が上昇傾向にある
② 利益は持続可能か
③ 年間PERが10以下
④ 継続的な成長
⑤ 1株利益の前年比がプラス
⑥ 高い営業レバレッジと売上総利益の向上
⑦ 受注残の上昇
⑧ 公開市場でのインサイダーによる買い
⑨ 少ない浮動株と低い時価総額
⑩ ITファクター(ユニークな話題、スーパーテーマ)
⑪ 保守的な経営
⑫ シンプルで好印象な決算発表
これらの条件は基本的にはオニールやミネルヴィニのものとよく似ています。
ただ、テクニカルはチャートを羅列したオニールの本よりもシンプルでわかりやすく感じましたし、ベースをより重要視しています。退屈で出来高の薄い状態が長期間続くことで短期筋が振り落とされるとともに支持線ができ、リスク・リワードが有利な状態になるそうです。
ファンダメンタルでは成長率に絶対的な数字を挙げていない(銘柄によって異なる)のと、低PERを条件に含めているのが特徴かなと思います。
仕掛けの条件はいくつか挙げていますが、基本的にはブレイクアウトで買うのではなく株価が落ち着くまで待つのを勧めています。
ベースから上放れた後に株価が落ち着き薄商いで値幅が狭くなったとき、特にマジックライン(ほとんどが10週移動平均線)まで戻したときがローリスクの仕掛けポイントとのことです。
売りに関してはその重要性を強調しているものの、天井を当てるのは難しく、信頼のおけるテクニカルの売りインデケーターはないそうです。著者が最良の売りどきとしているのはセンチメントが極端な状態になったときです。
具体的な条件としては、株価の大きな上方乖離、ギャップを開けて高値を更新、9~15か月上昇したあと、下のチャネルを下回ったとき、前の四半期を下回る決算、などなどテクニカルとファンダメンタルを合わせて30個くらい挙げています。
本書は成長株投資の本ですが、ブレイクアウトではなく少し落ち着いてから買う、株価の上昇で売る、増し玉するなといった王道とは少し違った話が書かれています。他の裁量の本と同様にどれくらいの優位性があるのかはわかりませんが面白かったです。
個人的にはベースの重視やローリスクな仕掛けポイントといった話は良さそうに思えました。