中国のポータルサイト大手でウェイボーの親会社です。
時価総額は44億ドルでシナが持つウェイボーの価値58億ドルを下回っています。
ウェイボー
中国版ツイッターと紹介されることが多い会社です。事業内容に関してはアメリカ部さんの記事が詳しいです。
ウェイボーの2Qは前年比で売上高+68%の増収・営業利益+76%の増益と好調でした。
直近1年間の売上は約15億ドルでYYやモモと似たレベルです。テンセントやアリババの400億ドル前後に比べると小さい会社です。
直近1年のEPSを使ったウェイボーの実績PERは27倍です。YahooFinanceの数字を使った今期予想PERは21倍、来期予想PERは16倍です。高成長率が続くと仮定すると割安感があります。
ウェイボーを除く業績
シナの業績からウェイボーの業績を差し引いたのが下表です。売上は横ばいで営業利益はマイナスが続いています。
(百万ドル) | 2014年 | 2015年 | 2016年 | 2017年 |
---|---|---|---|---|
売上高 | 434 | 403 | 375 | 433 |
営業利益 | -18 | -25 | -67 | -19 |
税前利益 | 232 | 10 | 195 | 7 |
純利益 | 226 | 1 | 172 | -1 |
四半期決算だとこんな感じです。18年上半期の赤字は前年よりも大きく、ウェイボー以外の事業はうまくいっていない様子です。
(百万ドル) | 17年1Q | 17年2Q | 17年3Q | 17年4Q | 18年1Q | 18年2Q |
---|---|---|---|---|---|---|
売上高 | 79 | 105 | 123 | 126 | 90 | 110 |
営業利益 | -12 | 6 | 2 | -17 | -36 | -19 |
税前利益 | 17 | -8 | 8 | -11 | -22 | -29 |
純利益 | 14 | -12 | 5 | -12 | -22 | -32 |
バランスシート
シナとウェイボーのバランスシートから現金系と有利子負債系の項目を抜き出したのが下表です。一番右の列はシナからウェイボーを差し引いた金額です。
ウェイボーの分を引いた後で見ると、ネットの現金・短期投資は約10億ドル、長期投資を含めると約19億ドルあります。
(百万ドル) | Sina | 差し引き | |
---|---|---|---|
現金同等物 | 1,049 | 318 | 731 |
短期投資 | 1,647 | 1,255 | 392 |
制限付き現金 | 137 | 137 | |
長期投資 | 1,458 | 567 | 891 |
短期借入金 | 87 | 87 | |
転換社債(短期) | 153 | 153 | |
転換社債(長期) | 882 | 882 | 0 |
※シナの株主資本36億ドルのうち非支配持分は8.7億ドルです。ウェイボーの株主資本は14億ドルでシナはウェイボーの45.6%を持つことから、シナの非支配持分の多くがウェイボーのものと思われます。
なおシナの長期投資ですが、2015年に配車アプリの滴滴と快的に1.42億ドルを投資したこと(原価法で計上)、不動産サービスのレジュ(LEJU)の0.57億ドルとソーシャル・ビデオ・プラットフォームのティエンガー(1980.HK)の0.98億ドルが持分法で計上されていることが書かれています。
感想
シナの時価総額の約44億ドルに対して、シナが持つウェイボーの価値が58億ドル、ウェイボーの分を除いたバランスシートの現金同等物が10億ドル(長期投資を合わせると19億ドル)あるので資産的には割安です。
また、ウェイボー自体が成長株として魅力的なので、より安いシナを買うことでウェイボーに投資するという方法もありだと思います。
マイナス点としてはシナ本体の赤字が少し増えていることでしょうか。あとはウェイボーの業績が失速してしまうことがリスクかなと思います。