中国株二季報 2018年夏秋号

中国株二季報の夏秋号を読みました。

全体的にはやはり日米より割安な株が多い印象です。国営大企業は成長率2桁でPER5~10倍くらいの銘柄がたくさんありますし、製造業には成長率20%超でPER6~7倍という銘柄もあります。ただ、内需系はそこまで激安な銘柄は少なく、それなりのバリュエーションだと思います。

気になった銘柄ですが、とりあえず今回は金融、電力、インフラ、建設セクターの主要銘柄を一覧にしてみます。

これらのセクターには国営企業が多く、突如取引停止になるリスクも少ないためある程度安心して投資できます。

 

銀行

4大銀行の予想PERは5倍前後で、配当利回りも5~6%あります。業績も悪くありません。評価が低いのは過剰債務問題による不良債権が心配されているのかなと思います。

銀行よりもさらに安いのが不良債権処理の会社です。4大国有資産管理会社の中国信達と中国華融が上場しており、中国信達資産管理が予想PER3.6倍・配当利回り8.2%、中国華融資産管理が予想PER2.7倍・配当利回り9.7%と激安な数字です。

不良債権の中心銘柄ということや、華融資産管理の経営者が汚職で摘発された記事が出ており不安を煽りますが、民間債務削減の政策がビジネスチャンスにつながると考えるなら良い投資対象かもしれません。

コード 会社名 株価 PER 配当 増収率 増益率
0939 中国建設銀行 7.01 5.6 5.4% 11% 9%
1288 中国農業銀行 3.58 4.9 6.1% 8% 8%
1398 中国工商銀行 5.48 5.3 5.6% 10% 7%
3988 中国銀行 3.72 5.2 6.0% 4% 4%
1359 中国信達資産管理 2.21 3.6 8.2% 9% 8%
2799 中国華融資産管理 2.05 2.7 9.7% 12% 13%

※業績数字は中国株二季報、株価はサーチナファイナンスより取得しています。

※PER、配当利回り、増収率、増益率は今期予想の数字です。人民元と香港ドルの為替レートは調整しています。

※株式分割などがあった場合は、数字がおかしい可能性もあります。

 

保険 

PERは10倍の会社が多い印象です。売上の伸びはまちまちですが、各社ともに純益は伸びています。

一覧のなかでは中国人民保険と中国人民財産保険のPERがやや低いです。中国人民財産保険は損保1位の会社、中国人民保険は人民財産保険の親会社で他の傘下企業を通して生命保険や健康保険も手掛けています。

コード 会社名 株価 PER 配当 増収率 増益率
0966 中国太平保険 25.3 11.7 0.7% -2% 30%
1336 新華人寿保険 32.95 11.2 2.6% -15% 43%
1339 中国人民保険集団 3.53 7.1 1.2% -3% 10%
1508 中国再保険集団 1.59 9.3 3.6% 6% 15%
2318 中国平安保険 71.90 10.7 2.7% -29% 19%
2328 中国人民財産保険 8.71 7.3 3.4% 12% 13%
2601 中国太平洋保険 30.15 12.1 3.9% -3% 31%
2628 中国人寿保険 20.00 11.0 3.1% -15% 32%

 

リース 

3社拾いました。PERは7倍と低めで、配当利回りも5~6%前後です。

中銀航空租賃は中国銀行傘下の航空機リースの会社ですが、ここ3年安定的に成長しており良さそうかなと思いました。

コード 会社名 株価 PER 配当 増収率 増益率
1606 国銀租賃 1.53 7.0 6.1% 8% 10%
2588 中銀航空租賃 48.30 7.2 4.8% 22% 1%
3360 遠東宏信 7.00 7.0 5.1%    

 

証券 

株式市場の調子が良くないこともあり軒並み減収予想です。バリュエーションに割高感はないので取引が盛り上がれば割安になりそうです。

コード 会社名 株価 PER 配当 増収率 増益率
1776 広発証券 15.98 12.2 2.8% -25% -1%
2611 国泰君安 15.52 11.0 3.2% -18% 0%
6030 中信証券 15.54 12.3 2.9% -14% 13%
6837 海通証券 7.88 8.7 3.5% -36% 3%
6881 中国銀河証券 3.95 7.2 4.2% -9% 14%
6886 華泰証券 12.10 9.4 4.1% -36% -16%

 

電力 

一覧表の上4社が従来から上場している電力会社、下4社が風力や天然ガスなどのクリーンエネルギーの電力会社です。どの会社も五大電力会社の傘下企業です。

従来型の4社は前期の業績落ち込みから回復の予想ですが、バリュエーションにはそれほど魅力がないです。

クリーンエネルギーの会社はPERが低く成長力もあります。政府の政策に大きく左右されそうなのでその辺は注意が必要だと思いますが。

コード 会社名 株価 PER 配当 増収率 増益率
0902 華能国際電力 5.49 15.7 3.9% 4% 186%
0991 大唐国際発電 2.22 12.6 5.2% 20% 56%
1071 華電国際電力 3.23 11.3 3.3% 4% 427%
2380 中電国際 1.77 8.0 5.7% 16% 117%
0735 中国電力清潔能源 3.55 8.8 4.0%    
0816 華電福新能源 1.76 5.0 5.1% 11% 20%
0958 華能新能源 2.68 6.3 2.3% 11% 25%
1798 大唐新能源 1.36 6.6 3.3% 19% 74%

 

道路 

成長力という点ではあまり期待できませんが、比較的配当が高めの会社が多く、業績も安定感ありそうです。

コード 会社名 株価 PER 配当 増収率 増益率
0107 四川高速道路 2.36 7.1 5.0% -27% -4%
0548 深セン高速公路 7.05 7.8 5.9% 14% 17%
0576 浙江高速道路 6.39 7.2 7.1% 4% 3%
0995 安徽高速道路 4.61 5.4 6.4% 7% 9%
1052 越秀交通 5.85 8.1 7.8% 5% 7%
3399 粤運交通 4.48 6.2 5.0% 17% 17%

 

環境 

ごみ処理やごみ処理発電、水処理の会社がいくつか上場しています。中国光大国際や中滔環保は、成長率が20~30%でPER10倍以下という魅力的なバリュエーションです。

これらの会社は施設を建設し、一定期間運用したのち売却・譲渡するモデルだそうです。施設の売却・譲渡が始まると成長率にマイナスとなる気がしますが、いまのところは成長鈍化していません。

なお、東江環保と中滔環保は個人が大株主にいるので民営の会社みたいです。

コード 会社名 株価 PER 配当 増収率 増益率
0257 中国光大国際 9.83 9.9 3.1% 20% 26%
0371 北控水務 4.36 9.1 4.0% 14% 20%
0895 東江環保 9.64 12.4 1.8% 28% 26%
1363 中滔環保 1.07 8.0 2.8% 29% 21%

 

建設 

建設はPER5倍前後の会社が多いです。成長もないわけではなく、全体的にはゆるやかに伸びているという感じです。

コード 会社名 株価 PER 配当 増収率 増益率
0390 中国中鉄 5.86 6.3 2.4% 8% 11%
1186 中国鉄建 7.77 5.0 3.2% 8% 12%
1618 中国冶金科工 2.19 5.3 4.3% 19% 19%
1800 中国交通建設 7.22 4.7 4.2% 12% 14%
3311 中国建築国際 7.87 5.8 5.2% 16% 21%
3996 中国能源建設 1.03 4.4 4.2% 8% 11%