レアアースの需給と生産会社

EVの普及によって需要増加が予想されるレアアースについてです。

UBSのレポートによると、EV(シボレーボルトEV)普及率100%の世界でのレアアースの需要の増加率はリチウムやコバルトに次ぐ大きさとなっています。

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レアアースはEVのモータに使われる永久磁石に使用されます。Alkane Resources の資料によると磁石用のレアアースの需要は全体の27%を占めています。

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永久磁石に使用されるレアアースは、ネオジム、プラセオジウム、ジスプロジウム、テルビウムといった金属です。

このうちネオジムとプラセオジウムの重要性が特に高いようで、Newgate のレポートによると NdPr(ネオジム-プラセオジウム)はレアアース全体の価値の8割を占めるそうです。

 

なお、大多数のEVにはレアアースが使われていますが、中にはテスラのモデルSやXのようにレアアースを使っていないEVもあります。ただし、テスラもモデル3にはレアアースを使用するようです。

Rare Earths: Tesla to use permanent magnet motors in Model 3 Long Range models

 

レアアースの生産は中国の独壇場です。鉱物資源マテリアルフローに世界の生産量のグラフが掲載されていますが、中国が全体の8~9割を占めています。

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中国のレアアース生産の問題として違法採掘があります。Alkane Resources の資料 にグラフがあり、これによると現在の生産量の半分近くが違法採掘になっています。近年は政府による生産管理や取り締まりが行われており、これにより供給が減る可能性があります。

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実際に2017年の半ばにネオジム-プラセオジウム価格は一時急騰しています(2011年の急騰に比べるとはるかに控えめではあります)。

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Monthly NdPr and Rare Earth Price Update

 

今後の需給予想ですが、Alkane Resources の資料 では非合法取引が減ることで大幅な需要超過になるという見通しが描かれています。ただ、レアアースに関してはとにかく中国の影響が大きいので、今後の需給や価格がどうなるかは中国次第だと思います。

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レアアースを生産している会社にはオーストラリアに鉱山を持つライナス・コーポレーションがあります。

そのほかには、同じくオーストラリアのプロジェクトを持つアラフラ・リソースズ、タンザニアのプロジェクトを持つピーク・リソースズといった名前が挙がっています。

 

Lynas Corporation(ASX:LYC)

オーストラリアのマウントウェルドでレアアースを生産している会社です。世界で2番目に大きいNdPr生産会社とのことです。

埋蔵量は9.9mt@10.8%REO(Rare earth oxide)、資源量は23.2mt@7.4%REOです。年間生産22ktREOで鉱山寿命は25年以上です。

2017年のREOの生産量は16,003t、NdPrは5,223tでした。売上高は257百万ドルで、そのうちNdPrからの売上が225百万ドルです。EBITDAは31.9百万ドルとなり初の黒字化です。

Foster Stockbroking という会社のレポートでは、転換社債がすべて行使された希薄化後のNPV@割引率10%・NdPr 48ドル/kgを2.09十億オーストラリアドルとしています。現在の時価総額は1.28十億オーストラリアドルです。

 

Peak Resources(ASX:PEK)

タンザニアの Ngualla プロジェクトの75%を持ちます。NdPr が将来の売上の9割を占めることになるというプロジェクトです。

BFSは完了しています。

埋蔵量は18.5mt@4.8%REO、NdPr の年間生産量2,810t、鉱山寿命26年、生産コスト32.24ドル/kg NdPrです。

税後NPV@割引率8%・NdPr77.5USドル/kgは612百万ドルです。時価総額の35.7百万オーストラリアドルと大きな差がありますが、NPVの計算に使われている NdPr の価格が現在の価格よりもかなり上です。

2017年11月のプレゼンテーション

 

Arafura Resources (ASX:ARU)

オーストラリアの Nolans プロジェクトを持つ会社です。

資源量は56mt@2.6%REO、NdPrが26.4%です。NdPr の年間生産量は3,600t、鉱山寿命は30年以上、生産コストは34.72ドル/kgで副産物のクレジットを差し引くと24.4ドル/kgになるそうです。

プレゼン資料には他社との比較表が掲載されています。NdPr の資源量、生産量、生産コストはライナスやピークと同等以上のレベルとなっています。ただ、この会社はFSが終わっていませんし、CAPEX(資本支出)も680百万USドルとピークリソースズの200百万ドルよりもかなり高いです。

現在の時価総額は74.8百万オーストラリアドルです。

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2017年10月のプレゼンテーション