株式投資のリスクはどれくらいあるのか?

前回の記事で長期的な株式投資の実質リターンはだいたい年4~7%くらいに落ち着きそうだという話を書きました。

このリターンがすんなり得られるのであれば株を買うことに躊躇する必要はありませんが、残念ながら株式投資にはリスクもあります。

ではそのリスクとはどれくらいのものなのでしょうか。

 

年間で損失が出る確率

一般的な感覚としては、リスク=損をすることだと思います。そこでまずは年間でマイナスリターンになる確率がどれくらいあるのか見てみます。

下のグラフは1970年~2016年までのMSCI JAPANの年間リターン(名目・配当込み)の分布です。

f:id:sapa21:20180221225051p:plain

47年のうちマイナスリターンになったのは16回で全体の34%、そのうち-10%を超える損失は11回、-20%を超える損失は4回、-30%を超える損失は2回でした。

おおよそですが、3年に1度マイナスの年があり、-10%を超える損失が4~5年に1度、-20%を超える損失が11~12年に1度起きたことになります。

 

次にMSCI USA(名目・配当込み)の損益分布です。

f:id:sapa21:20180221225107p:plain

こちらは日本株よりも極端な損失や利益が少なく、中央寄りの分布となっています。

47年のうちリターンがマイナスになったのは9回で全体の19.1%、そのうち-10%を超える損失は6回、-20%を超える損失は3回、-30%を超える損失は1回でした。

アメリカ株の場合はマイナスリターンは5年に1度くらいの頻度で、-20%を超える損失は約20年に1度しか起きなかったことになります。

 

最後にMSCI WORLD(名目・配当込み)です。

こちらはマイナスリターンになったのが4年に1度(12年/47年)で、-10%以上の損失が6~7年に1度(7年/47年)、-20%以上の損失が23年に1度(2年/47年)という結果でした。

f:id:sapa21:20180221225115p:plain

 

どれくらいの損失が発生するか

次に損失の大きさを見てみます。

下のグラフはMSCI USAの月足を使ったドローダウンチャートです。

ギザギザの谷ができていますが、それぞれの谷の深さは株価の直近ピークからの下落率を示します。谷から0%に戻ると、損失をすべて回復して新高値をつけたことを意味します。

f:id:sapa21:20180221225153p:plain

MSCI USAの場合、1974年、2002年、2009年に-40%を超える損失があり、そのうちの2009年は-50%を超える損失を記録しています。これらはいずれも景気後退の前後にあたります。

その次に大きいのは1987年で-30%近い損失です。これはブラックマンデーの影響で、景気後退を伴わない暴落でした。

 

続いてMSCI JAPANの月足ドローダウンです。

日本株は1990年のバブルを境に状況がまったく違ってきます。バブル前の期間では1974年に-40%近いドローダウンが発生していますが、それ以外は大きなドローダウンはありません。

一方で1990年以降はひどい惨状で高値を回復しないまま損失が拡大しています。最高値からの下落率は7割近くに達します。

f:id:sapa21:20180221225209p:plain

上のグラフでは高値を回復しないまま損失が連続しているので、92年7月を起点としたグラフも載せておきます。

株価の山と谷の差を見ると、89年12月~92年7月が-56%、94年5月~95年6月が-27%、96年4月~98年9月が-34%、00年3月~03年4月が-52%、07年6月~09年2月が-57%です。

短期間に5回の大幅下落が起きており、そのうち3度が-50%を超える大損失です。

f:id:sapa21:20180221225222p:plain

これらMSCI USAとJAPANの結果からすると、厳しい下げ相場では-40~60%もの損失が発生すると言えそうです。

 

株価の長期低迷期

最後に長期にわたって株価が低迷した期間の年足チャートを見てみます。

1966~1981年のS&P500、2000年~2012年のS&P500、1989~2014年のTOPIXの名目株価・実質株価・配当込み実質株価の3つをチャートにしました。

 

・S&P500 1966年~1983年

インフレによって株価が低迷した時期です。

名目株価は横ばいで73~74年を除き余り下げていませんが、高インフレのため実質株価は16年で半分以下にまで落ち込んでいます。

配当を含めても株価が本格的に反転に入るのは80年を過ぎてからで、結局15年以上も低迷が続いたことになります。

f:id:sapa21:20180221225317p:plain

※データはシラー教授のHPより取得しています。 

 

・S&P500 2000年~2013年

ITバブル崩壊とリーマンショックという2つの下落相場が連続した期間です。

名目株価は2012年の時点で、配当込み実質株価は2013年にピークを回復しました。

ITバブル絶頂時の株価がスタート地点とはいえ、21世紀のアメリカ株ですら10年以上も低迷することがあるというのは厳しい話です。

f:id:sapa21:20180221225327p:plain

 

・TOPIX 1989~2016年

バブル崩壊以後に長期低迷している日本株です。

デフレ傾向が続いていたため名目株価と実質株価はほとんど変わりません。また日本株は配当利回りが低いため、配当込みで見てもあまり救われていません。

バブル崩壊から27年経ちましたが、株価はいまだにピークのはるかに下です。株価のボトムでは名目・実質株価ともにピークの1/4にまで落ち込みました。

ただし、バブル崩壊直後の90~92年を除けば、この20年間は横ばいだったともいえます。あまり救いになりませんが。

f:id:sapa21:20180221225337p:plain

※配当のデータは、97年までは財政金融統計月報2000年3月金融・証券特集、98年からは東証HPより取得しています。

 

まとめ

以上見てきたことをまとめると、株式投資で年間リターンがマイナスになるのは時期や国にもよりますが4年に1度くらいで、厳しい下げ相場では損失はマイナス40~60%にも及び、ときに10年以上にわたって株価が低迷することもある、というところでしょうか。

この見返りとして長期的に年間4~7%くらいの実質リターンを得ることができます。

こうして文字にするとリスクが大きくて正直あまり魅力的に聞こえませんね。