8699 澤田ホールディングス

成長国であるモンゴルの銀行を子会社に持つというのが変わっていたので見てみました。比較的低PERです。

 

会社概要

HISの創業者である澤田秀雄さんの会社です。

モンゴルのハーン銀行、エイチ・エス証券、エイチ・エス債権回収といった子会社を持つほか、FXの外為ドットコムやロシアのソリッド銀行などを持ち株法適用会社にしています。

不動産会社のアスコットやエイチ・エス損害保険を売却したり、インデックスを買収したりと変化が激しいです。

 

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子会社の純利益を見るとハーン銀行の割合がひとつ抜けています。その他では外為どっとコムの利益も大きいです。

エイチ・エス証券の純益は374百万円でしたが経常利益は133百万円です。ただ、2~3年前の証券セグメントの利益は1,000百万円ほどあったので、市況が回復すれば利益も大きくなるかもしれません。

 (単位:百万円) 16年の利益 議決権 持分換算
ハーン銀行 4,773 54.4% 2,597
エイチ・エス証券 374 100% 374
エイチ・エス債権回収 62 100% 62
外貨どっとコム 1,607 40.1% 645
ソリッド銀行 -543 40.0% -217
iXIT -260 100% -260

 

ハーン銀行とモンゴル経済

澤田ホールディングスの業績はハーン銀行次第という感じなので、過去の業績をHPから抜き出してみます。

ちなみにハーン銀行はモンゴル国内に500店舗を超える支店ネットワークを有するモンゴル最大のリテール銀行とのことです。

2016年の実績は減収減益でした。ただし、モンゴル経済が悪化していた時期としてはそれほど落ち込みがないかなという印象です。

BSを見ると、総資産や純資産は増えていますが貸出は2年ほど横ばいです。

(十億MNT) 12年 13年 14年 15年 16年
営業収益 183 252 295 345 318
税前利益 87 122 129 136 101
純利益 71 96 108 121 104
 (BS)          
総資産 2,796 4,800 5,116 5,117 6,480
貸出 1,731 2,446 2,971 2,913 3,092
預金 2,073 2,773 2,744 3,005 3,975
純資産 231 335 443 564 685

 

ハーン銀行の業績はモンゴル経済に左右されると思います。

モンゴルの各種経済指標はモンゴル経済概況というジェトロの資料にまとめられています。いくつか特徴を抜き出すと、

・最大の産業は鉱業で経済全体の約20%を占める。

・最大の輸出先は中国で輸出額の約80%程度。

・主要な輸出品は銅で、石炭や金が続く。

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輸出先の大部分が中国で、主要輸出品の銅や石炭の価格を左右するのも中国になるため、モンゴル経済は中国経済に強く依存していると言えそうです。

 

経済成長率を見ると、リーマンショックの2009年とここ2年(2015年と2016年)の成長率が0%前後まで落ち込んでいます。

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近年モンゴル経済が苦しんでいる背景は苦境からの脱却を課題とするモンゴル経済で開設されています。

・モンゴルは世界金融危機のときにIMFから財政支援を受けたが、その後の資源価格の回復によって苦境を脱した。

・その時期に多くの外国資本が流入しインフラへの需要が高まったため、多大な資金が国際金融市場から調達された。

・ところが中国経済の減速と資源価格の下落によってモンゴル経済は再び低迷する。対外債務の償還が迫り債務危機の不安が高まる。

・2015年6月末の対外債務残高は2014年名目GDPの180%に相当、そのうち公的対外債務残高は2014年名目GDPの93%に相当する。

・モンゴル政府および政府系銀行の外貨建て債務の償還スケジュールによると、2017年から2018年にかけて21億ドル相当が償還予定となっている。(モンゴルの名目GDPは約100億ドル)

 

このような経緯から債務危機の不安が高まっていましたが、2017年2月にIFMによる支援が行われることが決まりました。

さらにその他の日中韓やアジア開発銀行の支援も合わせると金額的には十分で債務不安も払拭されそうです。

以下は日経新聞の引用です。

モンゴル政府は19日、国際通貨基金(IMF)から4億4千万ドル(約500億円)の融資を受けることで合意した。銅など主力の資源輸出が低迷して財政が悪化し、対外債務の返済が苦しくなっていた。日中韓やアジア開発銀行(ADB)の支援も取り付け、総額は約55億ドルに達する見通し。IMF管理下で歳出削減など財政健全化を進め、経済危機の克服を目指す。

 

ただし、記事にもあるように今後は緊縮財政が予想されるため、経済が低迷するのではという不安もあります。モンゴルがうまく乗り切れるかは結局のところ資源価格がどうなるかにかかってきそうです。

 

業績

前期実績は、売上高-16%の減収、経常利益-31%の減益でした。

セグメント利益を見ると、主力の銀行関連が8,397百万円から5,352百万円大幅の減益となったほか、証券関連も575百万円から90百万円に落ちています。

銀行部門の減益の原因としては、モンゴル経済の低迷、資金調達費用の増加、通貨安、為替ヘッジを目的とするスワップ取引の評価損、などを理由に挙げています。

ただし、同時に発表したハーン銀行の17年1Qは過去最高の利益でした。ハーン銀行の1Q決算は澤田HDの2018年3月期に反映されます。

  売上高 前年比 経常利益 前年比 純利益 経常利益率
11年3月 17,165 29% 1,995 25% -448 12%
12年3月 25,678 50% 5,241 163% 1,679 20%
13年3月 28,661 12% 5,200 -1% 3,016 18%
14年3月 43,566 52% 9,311 79% 6,005 21%
15年3月 45,329 4% 9,907 6% 6,527 22%
16年3月 55,270 22% 9,957 1% 6,701 18%
17年3月(予) 46,374 -16% 6,843 -31% 5,591 15%

※2017年の非支配株主に帰属する当期純利益は2,494百万円。

※17年3月の予想は四季報の数字です。

※純利益は親会社株主に帰属する当期純利益。少数株主利益があるのに純益が大きいのは特別利益に投資有価証券売却益があるためです。

 

バランスシート

金融業であるためバランスシートはわかりにくいです。

現預金 67,147百万円

短期借入金 1,633百万円

1年以内の長期借入金 37,740万円

長期借入金 44,377百万円

 

バリュエーション

・株価949円、自己株式を除く時価総額37,608百万円。

・実績PER6.7倍。(ただし、前期の利益には有価証券売却益が含まれています。)

・配当10円。利回り1.05%。

 

そのほか

・筆頭株主は創業者の澤田秀雄で25.9%の持ち分です。資産管理会社の秀インターも2.6%保有しています。

・株主優待があり、株主優待ウェブサイトに掲載する商品カタログの商品と交換可能な優待ポイントがもらえます。100株で1,000ポイント。

・ジャスダック銘柄です。東証1部昇格ですが、株主数2,992名で時価総額や流通株式数も問題ないように思います。

 

感想

2~3年前の利益を確保できればPERは7倍程度とかなり割安感が出てきます。新興国のモンゴル経済への投資ということで成長性もあります。

モンゴルの債務危機が一段落したことや、ハーン銀行の1Q決算が良かったのもプラス材料かなと思います。

 

マイナス点としては、新興国の中でも脆弱そうなモンゴル経済への不安感、銀行という評価のしにくい業種であることでしょうか。

 

バリュエーションには割安感があるので、銅や石炭価格の上昇が続いてくれればある程度安心して投資できそうです。