5ファクターモデルの世界での有効性

ファーマとフレンチの5ファクターモデルの有効性を国際市場で検証した The Five-Factor Fama-French Model: International Evidence を読んだ。

 

対象国は23か国で、北米、ヨーロッパ、日本、アジア太平洋の4地域に分けてリターンを調べている。全銘柄を統合したグローバル市場での成績も載っている。

検証期間は1992年7月~2014年12月。

 

各地域における、サイズ(SMB)、バリュー(HML)、収益性(RMW)、投資ファクター(CMA)の月次リターンは下のとおり。

バリュー、収益性、投資の各ファクターは小型株と大型株の成績も書かれている。

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結果はこんな感じ。

・サイズは北米のみ有効(t値が2以上で統計的に有意)。日本はわずかなプラスリターン。

・バリューはすべの地域でかなりのリターンだが北米のみ有効ではない。日本のバリュー効果は最も大きい。大型バリューが有効なのは日本のみ。

・小型バリューは北米を含めたすべてのマーケットで有効。

・収益性は日本を除く地域でプラスのリターンだが、グローバルを含むすべてのマーケットで統計的に有意ではない。日本のリターンはマイナス。

・投資はすべての地域でプラスのリターンだが、統計的に有意なのはグローバルとヨーロッパのみ。日本のリターンはほどほどのプラス。

 

5ファクターモデルの国際市場の結果はおおむねアメリカでの検証結果に近いとのこと。

ただ、収益性ファクターと投資ファクターの有効性はいまひとつ低く、逆にバリューファクターの効果がかなり強くなっている。

日本は、他の地域と違い収益性ファクターがマイナスリターンの一方で、バリューファクターが非常に有効という結果になっている。