Using Absolute Momentum to Positively Skew Calendar Year Returns という記事に、10か月移動平均によるマーケットタイミングを使うことで年次リターンがどれくらい変わるのかというグラフが掲載されていた
まずはバイアンドホールドのグラフ。赤はリセッションがあった年、黄色は複数年にまたがるリセッションの最終年を示している。
リセッションの年はリターンが悪く、景気回復の初期にリターンが高くなっている。
次にマーケットタイミングのグラフ。
この記事でのマーケットタイミングは、月の終値が10か月移動平均より上のときに株式で、下のときに米国債券という戦略を使っている。
こちらは-25%を超える損失が無くなっている。
著者によるとリバウンドも捕えているとのことだが、右端の大きな利益はやや減っているように見える。
この記事にならって日経平均株価(配当なし)でも同様のグラフを作ってみる。
マーケットタイミングには10か月移動平均を使うが、下回ったときにはキャッシュで保有とする。
下がバイアンドホールドのグラフ。
マイナス40%を超える損失が1回、マイナス30%~40%の損失が1回ある。
次にマーケットタイミングのグラフ。
マイナス20%を超える損失は1回だけとなった。ただし、+30%を超える大きな利益も14回から9回に減っている。
両者の累積リターンのグラフ。
2000年以降はトレンドがわかりやすかったのでマーケットタイミングの成績が良いのだが、それ以前はバイ&ホールドの方が成績は良い。
感想
アメリカ株でも日本株でも長期の移動平均線によるマーケットタイミングにより年間リターンが大幅マイナスになるのを防ぐことができる。このメリットは本当に大きいと思う。
一方で、マーケットタイミングを使うことで大底からの反発を取り逃がしてしまうし、税金の面でも不利なので、利益の面での貢献はあまり期待しないほうがいいと思う。
この方法を使うのであれば、利益を増やす目的よりも大きな損失を回避する目的で使うのが良いと思う。