電気自動車(EV)関連銘柄

今後の普及が期待されている電気自動車(EV)の関連銘柄を調べてみました。

 

完成車メーカー

大手自動車メーカーのEVへの取り組みは、EVsmartさんの電気自動車のメーカー別一覧に詳しくまとめられていました。

現在は、日産、テスラ、BYDといった会社がEVを生産販売していますが、いずれも航続距離が短いか航続距離は長いけど値段が高いというタイプです。

しかし、今後は航続距離が長く価格の安いEVが発売されるため普及が期待できます。2016年末にGMがシボレーボルト(3万8千ドル、航続距離320km)を、2017年中にテスラがモデル3(3万5千ドル、航続距離350km)を発売する予定です。

 

投資対象としてはEV専業のテスラか、比較的EVの比率が高いBYDが候補になると思います。

ただ、時価総額はテスラ3.7兆円、BYD2.1兆円とすでにかなり割高に評価されています(日産の時価総額が4.8兆円ほどです)。EVに期待するといっても気軽に手を出しにくい水準です。

 

テスラモーター (TSLA)

イーロン・マスクによって設立されたシリコンバレー発の電気自動車会社です。2015年の販売台数は5万台で40億ドルの売上があります。

2017年に新型車のモデル3を発売する予定です。すでに予約は37万台に達したそうです。1台3万5千ドルからなので、単純計算で130億ドル以上の売上になります。

他社との違いとして、テスラは顧客が無料で使える自前の急速充電スタンドを多数設置しています(モデル3が無料対象なのかはまだわかりません)。モデルSやモデルX向けの「スーパーチャージャー」の最大出力は120kWと他の充電器に比べて高く、大型バッテリーを短時間で充電することが可能になっています。

 

業績は以下のとおり赤字が続いています。時価総額は333億ドル(約3.7兆円)でPSRは8.3倍です。

(10億ドル) 2013年 2014年 2015年 16年1Q
売上高 2,014 3,198 4,046 1,147
営業利益 -61 -187 -717 -248
純利益 -74 -294 -889 -282

 

BYD (1211.HK)

リチウムイオン電池や自動車(ガソリン車、プラグインハイブリッド、EV)の製造販売を行っている中国の会社です。ウォーレンバフェットが投資したことで有名です。

2015年の販売台数は38万台(ガソリン車32万台、新エネルギー車5万8千台)でした。自動車セグメントは売上の50%を占めており、新エネルギー車に限ると全体の24%です。売上の90%が中国国内向けです。

中国政府はEVの普及に力を入れており市場が急拡大しています。BYDの業績も昨年は売上40%・税前利益3.3倍と大きく伸びました。2016年1Qも営業利益33%の増益となっています。

不安を感じさせる要因としては、政府の補助金削減、メーカーの補助金不正受給、といったニュースが出ています。

 

BYDのH株の株価は44.75HKドルで実績PERは40倍です。

アニュアルレポートによると発行済み株式数はA株1561百万株(株価58RMB)、H株915百万株なので、時価総額を計算すると2.1兆円くらいになります。

(100万RMB) 2013年 2014年 2015年 16年1Q
売上高 49,767 55,366 77,611 20,285
税前利益 832 873 3,794 1,148
純利益 553 433 2,823 850
EPS 0.23 0.18 1.12 0.32

 

リチウムイオン電池メーカー

リチウムイオン電池はEVの最も重要な部品です。EVの欠点として挙げられる航続距離や充電時間は電池の問題ですし、車のコストの大きな部分を占めるのもリチウムイオン電池です。

大手の電池メーカーは、パナソニック、LG化学、サムスンSDIです。テスラはパナソニックから(一部車種でLG化学からも調達とのこと)、シボレーボルトはLG化学から調達するようです。日産はAESC(自社とNECとの合弁会社)製ですがLG化学の電池を検討との報道があります。BYDは自社製です。

投資対象としての問題は、各社とも全体の売上に占めるリチウムイオン電池の比率が小さいところです。現時点では他部門の売上が大きいため、リチウムイオン電池の売上が伸びたとしても全体としては期待ほど伸びないかもしれません。 

 

パナソニック(6752)

テスラと共同でリチウムイオンバッテリーの新工場の建設中です。投資額は5,000億円で年間50万台分のバッテリーを製造できるそうです。

事業部情報によると、エナジー事業部(二次電池事業部、エナジーデバイス事業部、パナソニックストレージバッテリー株式会社)の売上は5,397億円で全体の11%ほどです。

株価965円で実績PEは11倍、予想PERは15.4倍です。それほど割高感はありません。 

(100万円) 2015年 2016年 2017年
売上高 7,715,037 7,533,717 7,600,000
営業利益 381,913 415,709 310,000
経常利益 182,456 217,048 300,000
純利益 179,485 193,256 145,000
EPS 77.65 88.40 62.47

 

 LG化学(051910 KOSPI)

パナソニックと並ぶリチウムイオン電池のトップメーカーです。大手自動車メーカーからの契約を次々と獲得しており勢いがあります。

セグメントは、Basic materials & Chemicalsが最も大きく全体の売上の7割ほどを占めています。Energy solutionsの売上高は全体の15%程度でセグメント利益はほとんどゼロです。

株価275,000ウォンでPERは17.5倍、Google financeによると時価総額は18兆ウォン(1.7兆円くらい)となっています。

(100万ウォン) 2013年 2014年 2015年
売上高 23,143,612 22,577,830 20,206,583
営業利益 1,743,044 1,310,761 1,823,568
税前利益 1,601,296 1,159,861 1,549,643
純利益 1,265,968 867,924 1,152,987
EPS 17,261 11,798 15,674

 

サムスンSDI (006400 KOSPI)

大手の一角ですが、パナソニックやLG化学に比べると派手な話をあまり見かけません。

セグメントは、Chemical、Electronic material、Energy and otherの3つでしたが、今年に入ってからChemicalセグメントを売却しており、リチウムイオンバッテリーがメインになっています。ただし、営業外の関連会社投資損益(主にサムスンディスプレイからの損益)が大きいです。Energy and otherのセグメントは赤字です。

資産売却の利益・損失があったり、前年は訴訟費用が大きかったりと、PLの数字がちょっとわかりにくいです。

株価108,000ウォンでPERは141倍、Google financeによると時価総額は7.5兆ウォンです。

(100万ウォン) 2013年 2014年 2015年
売上高 3,428,462 5,474,222 7,569,331
営業利益 -11,317 70,818 -59,832
税前利益 513,176 199,368 39,059
純利益 130,599 -83,848 53,846
EPS 2957 -1,458 766

 

GSユアサ(6674) 

大手バッテリーメーカーで、三菱自動車に供給するリチウムエナジージャパン、ホンダに供給するブルーエナジーの親会社です。

リチウムイオン電池の売上比率は全体の10%ほどでセグメント利益は赤字となっています。

株価461円で予想PERは15.9倍くらいになります。 

(100万円) 2015年 2016年 2017年
売上高 369,760 365,610 410,000
営業利益 20,914 21,909 24,500
経常利益 22,357 21,416 24,000
純利益 10,043 9,030 12,000
EPS 24.33 21.88 29.07

 

リチウムイオン電池材料の会社

リチウムイオン電池の主要材料は、正極材、負極剤、セパレーター、電解液です。

日本の上場企業では、正極材の田中化学研究所とセパレーターのダブルスコープがリチウムイオン電池の割合が高い会社です。その他の会社はリチウムイオン電池関連は全体の一部といった感じです。

 

田中化学研究所(4080)

2次電池向け正極材料専業。リチウムイオン向け製品がメインで、三元系(ニッケル、コバルト、マンガン) 正極材料を基本にしています。

主な顧客への売上には、LG化学、三洋電機、サムスンSDIとメジャーどころが並んでいます。

今期業績はニッケルやコバルトの価格急落によりたな卸資産評価損が出て大幅な損失となりました。赤字が連続しており継続企業の前提に関する注記がついています。

バランスシートには有利子負債が短期309百万円、長期6,864百万円あります。

なお筆頭株主の住友化学とは、両社の合意のもとで住友化学が30%まで株式を追加取得することができるという契約を結んでいます。

(100万円) 2015年 2016年 2017年
売上高 12,384 15,266 17,200
営業利益 -393 -301 500
経常利益 -660 -574 400
純利益 -2,663 312 350
EPS -189 21.05 23.57
 
ダブルスコープ(6619)

リチウムイオン二次電池セパレータ専業の会社です。売上の伸びは15年+66%、16年+65%とすごい数字で、今期も+34%の増収予想です。

1Qは+71%の増収、+360%の経常増益でした。

連結売上高の57.7%を占めるのは中国市場となっています。

最大の顧客は東莞市旭冉電子有限公司(販売代理店)で、過去の下方修正のIRには東莞市旭冉電子有限公司の顧客は比較的企業規模が小さいと書かれています。ここのところは少し不安要素かなと思います。

ただし、LGグループ向けの販売も伸びており、17年1Qの時点で全体の36%を占めています。

急成長が評価されており、予想PERは44倍とやや高い水準です。

(100万円) 2015年 2016年 2017年 17年1Q
売上高 4,522 7,448 10,000 2,149
営業利益 332 1909 2600 812
経常利益 695 2054 2500 754
純利益 528 1,829 2300 556
EPS 37.3 129.0 141.0 39.2

 

日本のリチウム電池関連株についてはこちらにも記事を書きました。