グローバル市場でのCAPEレシオの有効性

アメリカ市場でのCAPEレシオの有効性について書かれた資料は多い。では、グローバル市場ではどうなのかと思って検索したところいくつか資料が見つかった。

これらの資料の結論は、どれも米国と同じく長期スパンでのCAPEレシオは有効であるというものだ。

ただし、長期データの揃っているアメリカと違って多くの国のデータは1980年くらいからしかない。CAPEレシオの計算に10年かかるのを考慮するとデータ数はちょっと少ないかなと感じた。

 

CAPE: Predicting Stock Market Return

各国のCAPEレシオをHPに掲載しているStarCapitalのレポート。

グローバル市場での検証は15か国が対象。期間はアメリカ以外の国が1979年~2013年、アメリカは1881年~2013年。CAPEレシオの数字とそれに続く15年の実質リターンを計測している。

割安なCAPEレシオのその後のリターンは高く、割高なCAPEレシオのその後のリターンは低くなるという結果。

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Global Value : Building Trading Models with the 10 year cape

2012年に発表された Mebane Faber のペーパー。

グローバル市場は32か国、1980年~2011年の期間におけるCAPEレシオと実質リターンを調べている。

データの国数は、1980年に約10か国、1990年に20か国、2000年に30か国との。

1年、3年、5年、7年、10年の期間のリターンが掲載されておりとても親切。

CAPEの平均は15~20倍、下は7倍、上は45倍くらいになっている。低きを買って、高きを売れという結果。

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Does the Shiller P/E Work in Emerging Markets?

先進19ヵ国、新興16ヵ国、合計35か国での検証。2012年の論文。

USやUKは戦前からの長期データ、日本は1966年から、フランスやドイツといった先進国は1980年前後からが多い。新興国のデータは2000年前後からの国が半分以上となっている。

シラーPEとそれに続くリターンの相関は、先進国・新興国ともに投資期間が60か月(5年)以下では中くらいのレベルだが、それ以上の期間ではだいたい0.7くらいの値になるそうだ。

10年実質リターンとの決定係数(R2)は0.2以上の国が多く、多くのモデルの説明力が20%以下なのを考えるとシラーPEは最も信頼できるツールのひとつであるとのこと。